「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

一張羅、80余年前の七五三の晴れ着姿

2019-11-17 06:09:02 | 2012・1・1
115日は子供の成長を祈る七五三の行事である。わが家では孫がみな大きくなり、近所にも対象の子供がおらず、今年はお祝いの千歳飴はどこからも頂かなかった。最も家人の話では最近は、15日にこだわらず、11月の土日に行う家庭が多いそうだから、今日の日曜日も神社の社殿は賑わっているのかもしれない。

古いアルバムを整理したら僕の三歳と5歳(昭和10年)の時の七五三の晴れ着姿の写真がった。一張羅の洋服を着て千歳飴をぶら下げている。両親が近所の写真屋へ連れて行きとってくれたものだ。戦前は家にカメラがある家が少ない。また、東京では戦災にあい、80余年前の写真は少ないのではないか。

ここまで書いて、僕は”一張羅”という言葉にひっかかった。何気なく使ったが、今はあまり使用しない死語に近いのではないだろうか。広辞苑(岩波書店〉によると、一挺の蝋燭(ろうそく)から転じた語で、貴重な”持っている着物の中で一番、上等なもの”という意である。遠い記憶になるが、戦前はどこの家でも兄弟が多く、弟は兄の一張羅の"お古”を日常着ていたものだ。

最近は少子化がすすみ、また着るものも安く簡単に入手できる。一張羅の時代ではないく恵まれている。しかし、昔の七五三の賑わいを知っている老人には何か物足りない。