いよいよロンドン交響楽団(LSO)も今日からシーズン開幕。オープニングコンサートというのは、「さあシーズンの始まり~始まり~。」といった、期待感にあふれた、暖かい雰囲気が流れている。今日は、その期待に見事に応えるめちゃくちゃ中身の濃いコンサートで、完全にKnock Outされた。
頭から凄かった。曲はロシアの作曲家シチェドリンが編曲したビゼーのカルメン組曲。弦と打楽器だけの編成で、カルメンの主要なメロディを実に美しく、キレの良い演奏を聞かせてくれた。久しぶりのLSOだが、流石、上手いと唸らせてくれる。個人的には「カルメン」はもう少し情感のある演奏が好みだが、機能的で美しいアンサンブルに心を奪われた。通しで50分近い曲で、オペラの短縮番を見ているよう。ゲルギエフの呻きも凄く、初回からいきなり全力投球であることが、後ろ姿からも強く伝わってきた。
続いて2曲目は、シチェドリンのピアノ協奏曲第5番。これもカルメン同様、凄い大熱演だった。正直音楽は良くわからなかった。エネルギー、それも怒りのエネルギーを爆発させたような曲。前から五列目に陣取ったので楽譜が見えるのだが、五線譜におたまじゃくしが引き詰められている真っ黒な楽譜を、独奏者のデニス・マツーエフ(Denis Matsuev)が、凄い勢いで、自分の動態視力では見えないようなスピードで、激しく鍵盤を叩く。ピアノは打楽器なのだ。ピアノが打鍵の強さで上下に揺れ、つっかえ棒が外れやしないかと余計な心配をしてしまうぐらい。曲は全く自分の理解の範疇を超えているものの、その激しさに体が反応し、心臓の鼓動が高まり、脈が早まり、血圧が上がるのがわかる。ドキドキするのだ。猛烈な勢いが最後まで衰えず、逆に加速してフィニッシュ。ブラボーの大きな拍手に包まれる。作曲者のシチェドリンも来ていて一緒に舞台に上がる。こんなパワフルな音楽を作曲したとは思えない細身のおじいさんだった。とっても満足している様子だった。
20分の休憩時間は、高まった胸の鼓動を収めるにはとても足りなかったが、そのまま後半へ。最後は「展覧会の絵」である。横綱相撲とはこのような演奏を言うのだろう。トランペットのソロから始まり、フィナーレの「キエフの大門」まで、管楽器のソロ、弦楽器、管楽器のアンサンブル、打楽器の打ち込み、各々が言うことなし。参りました。ゲルギーは暗譜で振るところはあまり見かけない印象が強いが、この曲は暗譜。普段よりもノリノリのアクション、かつ時々の大きな呻きで、ゲルギエフ絵巻の主役を演じていた。
会場からは凄い拍手。隣のフランス人はブラボーを連発していた。終わったのは、なんと10時15分。ちょっと、ヘビー級すぎて消化不良を起こしそうだが、シーズン開幕戦でひいきチームがライバルチームに圧勝したような、満腹感一杯のオープニングコンサートだった。
※ゲルギエフとマツーエフ
※作曲者のシチェドリン
※「展覧会の絵」が終わって
※今日は前列5列目。音がまともにぶつかってきて、体で音を受け止め、えらく疲れた。
London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
2010/11 season opening concert
25 September 2010 / 19:30
Barbican Hall
Bizet arr Rodion Shchedrin Carmen Suite
Rodion Shchedrin Piano Concerto No 5
Mussorgsky orch Ravel Pictures at an Exhibition
Valery Gergiev conductor
Denis Matsuev piano
頭から凄かった。曲はロシアの作曲家シチェドリンが編曲したビゼーのカルメン組曲。弦と打楽器だけの編成で、カルメンの主要なメロディを実に美しく、キレの良い演奏を聞かせてくれた。久しぶりのLSOだが、流石、上手いと唸らせてくれる。個人的には「カルメン」はもう少し情感のある演奏が好みだが、機能的で美しいアンサンブルに心を奪われた。通しで50分近い曲で、オペラの短縮番を見ているよう。ゲルギエフの呻きも凄く、初回からいきなり全力投球であることが、後ろ姿からも強く伝わってきた。
続いて2曲目は、シチェドリンのピアノ協奏曲第5番。これもカルメン同様、凄い大熱演だった。正直音楽は良くわからなかった。エネルギー、それも怒りのエネルギーを爆発させたような曲。前から五列目に陣取ったので楽譜が見えるのだが、五線譜におたまじゃくしが引き詰められている真っ黒な楽譜を、独奏者のデニス・マツーエフ(Denis Matsuev)が、凄い勢いで、自分の動態視力では見えないようなスピードで、激しく鍵盤を叩く。ピアノは打楽器なのだ。ピアノが打鍵の強さで上下に揺れ、つっかえ棒が外れやしないかと余計な心配をしてしまうぐらい。曲は全く自分の理解の範疇を超えているものの、その激しさに体が反応し、心臓の鼓動が高まり、脈が早まり、血圧が上がるのがわかる。ドキドキするのだ。猛烈な勢いが最後まで衰えず、逆に加速してフィニッシュ。ブラボーの大きな拍手に包まれる。作曲者のシチェドリンも来ていて一緒に舞台に上がる。こんなパワフルな音楽を作曲したとは思えない細身のおじいさんだった。とっても満足している様子だった。
20分の休憩時間は、高まった胸の鼓動を収めるにはとても足りなかったが、そのまま後半へ。最後は「展覧会の絵」である。横綱相撲とはこのような演奏を言うのだろう。トランペットのソロから始まり、フィナーレの「キエフの大門」まで、管楽器のソロ、弦楽器、管楽器のアンサンブル、打楽器の打ち込み、各々が言うことなし。参りました。ゲルギーは暗譜で振るところはあまり見かけない印象が強いが、この曲は暗譜。普段よりもノリノリのアクション、かつ時々の大きな呻きで、ゲルギエフ絵巻の主役を演じていた。
会場からは凄い拍手。隣のフランス人はブラボーを連発していた。終わったのは、なんと10時15分。ちょっと、ヘビー級すぎて消化不良を起こしそうだが、シーズン開幕戦でひいきチームがライバルチームに圧勝したような、満腹感一杯のオープニングコンサートだった。
※ゲルギエフとマツーエフ
※作曲者のシチェドリン
※「展覧会の絵」が終わって
※今日は前列5列目。音がまともにぶつかってきて、体で音を受け止め、えらく疲れた。
London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
2010/11 season opening concert
25 September 2010 / 19:30
Barbican Hall
Bizet arr Rodion Shchedrin Carmen Suite
Rodion Shchedrin Piano Concerto No 5
Mussorgsky orch Ravel Pictures at an Exhibition
Valery Gergiev conductor
Denis Matsuev piano