自分の今シーズン最後のプロムスを飾るに相応しい素晴らしい演奏会でした。深く、重く、心が揺さぶられました。アルバートホールが、時間の概念を超えた「宇宙」空間というか、人間の社会を超越した「神」の空間というか、はたまた「禅」の空間とも言えそうな、日常とは全く異次元の世界になった2時間でした。
この曲は1610年の『聖母マリアの夕べの祈り』とか『聖母マリアの晩課』と訳されるようです。モンテヴェルディが、世俗曲の作曲家から教会音楽へ移行する最中での、最初の大曲だそうです。6月にセントポール寺院で同じ曲を聴きましたが(こちら→)、場の雰囲気に圧倒されて音楽は良く分からなかった。
今回は、全体を通じて指揮者のガーディナーが芸術監督を務めるモンテヴェルディ合唱団の素晴らしい歌唱が強烈な印象を残しました。この合唱団は、今年LSOとベートーベンの第9をやった際に、わずか30名そこそこで、大合唱団を遥かに上回るような素晴らしい合唱を聴かせてくれたのですが(→こちら)、昨日も40名に満たない編成で、清廉かつパワーある歌声で、聴く人の心を清めるとでも言うのでしょうか、自分の心にひだに溜まった汚いものが流されていくような気にさせてくれます。ソリストとしても歌ってくれたEmanueal Galliさん、LemmeleRuitenさんの2人のソプラノ、Stephane Guilderaさんのアルト、Andrew Tortiseさんのテナーを初めとする独唱も素晴らしかったです。
合唱団はこの他にも、Schola Cantorum of The Cardinal Vaughan Memorial School とLondon Oratory Junior Choirの2つの青少年合唱団が参加しており、正面コーラス席や、また場所を移動してアルバートホールの上部から美しい歌声を聞かせてくれました。ホール全体に響くその声が、演奏を、立体的な厚みや異次元的な深みを与えてくれました。
演奏はもちろん古楽器による演奏。見慣れない、ギターのお化けのような楽器や木管楽器も金管楽器も通常のオーケストラで見かけるのは大きく違いますが、それらの楽器からはせられる音は、即、我々の時間軸を現在から1610年当時に運んでくれます。
プログラムの楽曲解説は何と指揮のガーディナーさん自身の筆によるもの。プログラムによると、1964年3月5日、彼がまだ学部学生だった時、初めてモンテヴェルディ合唱団を結成し、キングス・チャペルでこの曲を指揮したそうです。それ以来、半世紀近くにわたってこの曲を指揮している、ガーディナーさん。この日はその彼ならではの、一点の迷いも感じられない指揮ぶりです。ガーディナー指揮、モンテヴェルディ合唱団のモンテヴェルディを聴けるなんて、なんと幸せでもったいないことなんだろう。
演奏後の聴衆の反応は、即の熱烈大拍手と言うより、ゆっくりとした拍手から段々加速していくものでした。聴衆自身が、拍手することで、異次元の余韻から醒め、自分たちの世界に戻って行く、そんな感じがするものでした。
※この日はProms今シーズンの中で、最良席のストール席をゲット。
※楽団と合唱団の入場です
※終演後。素晴らしい演奏・合唱でした。
※起立しているのが、独唱陣の皆さん。ホント、素晴らしかった。
※焦点がボケてますが、ガーディナーさん
※幾度も続くカーテンコール
Prom 75: Monteverdi's Vespers of 1610
Date Friday 10 September 2010
Time 7.30pm–c9.20pm
Venue Royal Albert Hall
Monteverdi Vespers of 1610 (95 mins)
There will be no interval
Monteverdi Choir
London Oratory Junior Choir
Schola Cantorum of The Cardinal Vaughan Memorial School
English Baroque Soloists
His Majestys Sagbutts and Cornetts
Sir John Eliot Gardiner conductor
この曲は1610年の『聖母マリアの夕べの祈り』とか『聖母マリアの晩課』と訳されるようです。モンテヴェルディが、世俗曲の作曲家から教会音楽へ移行する最中での、最初の大曲だそうです。6月にセントポール寺院で同じ曲を聴きましたが(こちら→)、場の雰囲気に圧倒されて音楽は良く分からなかった。
今回は、全体を通じて指揮者のガーディナーが芸術監督を務めるモンテヴェルディ合唱団の素晴らしい歌唱が強烈な印象を残しました。この合唱団は、今年LSOとベートーベンの第9をやった際に、わずか30名そこそこで、大合唱団を遥かに上回るような素晴らしい合唱を聴かせてくれたのですが(→こちら)、昨日も40名に満たない編成で、清廉かつパワーある歌声で、聴く人の心を清めるとでも言うのでしょうか、自分の心にひだに溜まった汚いものが流されていくような気にさせてくれます。ソリストとしても歌ってくれたEmanueal Galliさん、LemmeleRuitenさんの2人のソプラノ、Stephane Guilderaさんのアルト、Andrew Tortiseさんのテナーを初めとする独唱も素晴らしかったです。
合唱団はこの他にも、Schola Cantorum of The Cardinal Vaughan Memorial School とLondon Oratory Junior Choirの2つの青少年合唱団が参加しており、正面コーラス席や、また場所を移動してアルバートホールの上部から美しい歌声を聞かせてくれました。ホール全体に響くその声が、演奏を、立体的な厚みや異次元的な深みを与えてくれました。
演奏はもちろん古楽器による演奏。見慣れない、ギターのお化けのような楽器や木管楽器も金管楽器も通常のオーケストラで見かけるのは大きく違いますが、それらの楽器からはせられる音は、即、我々の時間軸を現在から1610年当時に運んでくれます。
プログラムの楽曲解説は何と指揮のガーディナーさん自身の筆によるもの。プログラムによると、1964年3月5日、彼がまだ学部学生だった時、初めてモンテヴェルディ合唱団を結成し、キングス・チャペルでこの曲を指揮したそうです。それ以来、半世紀近くにわたってこの曲を指揮している、ガーディナーさん。この日はその彼ならではの、一点の迷いも感じられない指揮ぶりです。ガーディナー指揮、モンテヴェルディ合唱団のモンテヴェルディを聴けるなんて、なんと幸せでもったいないことなんだろう。
演奏後の聴衆の反応は、即の熱烈大拍手と言うより、ゆっくりとした拍手から段々加速していくものでした。聴衆自身が、拍手することで、異次元の余韻から醒め、自分たちの世界に戻って行く、そんな感じがするものでした。
※この日はProms今シーズンの中で、最良席のストール席をゲット。
※楽団と合唱団の入場です
※終演後。素晴らしい演奏・合唱でした。
※起立しているのが、独唱陣の皆さん。ホント、素晴らしかった。
※焦点がボケてますが、ガーディナーさん
※幾度も続くカーテンコール
Prom 75: Monteverdi's Vespers of 1610
Date Friday 10 September 2010
Time 7.30pm–c9.20pm
Venue Royal Albert Hall
Monteverdi Vespers of 1610 (95 mins)
There will be no interval
Monteverdi Choir
London Oratory Junior Choir
Schola Cantorum of The Cardinal Vaughan Memorial School
English Baroque Soloists
His Majestys Sagbutts and Cornetts
Sir John Eliot Gardiner conductor