今年のプロムスの最大の楽しみにしていたサイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルのコンサートに行きました。ベルリン・フィルは、昨年ベルリンでアバト指揮のコンサート(こちら→)に出かけて、涙が落ちそうな経験をさせてもらいました。
今回のチケットは、Promsオンライン発売開始日に購入をかけたのですが、一番高い座席を希望で出したにもかかわらず、高い倍率を勝ち抜けなかったようで、コンピュータに後ろに廻され、結局今日の席は4階席のそれも最上席という、指定席の中では一番安いものの、一番高いところから聴くことになってしまい、ちょっとがっかりでした。まあ、「東京では、NHKホールの3階席の後ろ部分で、N響の定期公演を聴いていたことを思えば、まだいいか」とポジティブ・シンキングで気分を切り替えましたが・・・。
ただ、終わってみると、この日のコンサートは座席位置などは全く関係ないがごとくの横綱演奏でした。打ちのめされた2時間でした。
前半は、ベートーベンの交響曲第4番。こじんまりとした編成ながらも、重厚さと繊細を併せ持ち、かつキレの良さを感じる演奏に、釘つけになりました。弦はもちろんのこと、木管陣のホール中を突き抜けるような音の美しさに惚れ惚れとしました。
休憩を挟んでの後半の大曲は、マーラーの交響曲第1番。これには、完全KnockOutです。第一楽章から、弦の繊細な響き、木管の個性、金管の爆発が作り出すマーラーの世界。音楽がこんなに立体的な奥行きがあるものだと感じさせ、聴く者に「絵」を浮かび上がらせる、そんな演奏でした。何故、こんな演奏がこの楽団には可能になるのか?人間業とは思えない。不思議でしょうがありませんでした。
第2、第3楽章も4階席から前のめりになって聞く演奏が続きます。そして、第4楽章のフィナーレも言うまでもありません。あのアルバートホールが狭く感じるなんて、今回が初めてです。
やはり、一つ突き抜けたオーケストラと言うのは、個々の演奏者の個性と、そのぶつかりあいの中でのハーモニー、そして指揮者のリーダシップ、この3つが本当にしっかり揃っているものだと、妙に納得しました。ラトルは、動きを止めたかと思うと、激しく演奏者に向かって行ったり、変幻自在です。そしてその中で、「紡ぐ」という表現が浮かんだように、オーケストラから音楽を創っていきました。
今回の演奏が、ベルリンフィルのベストの演奏かどうかは正直わかりません。木管の各奏者はかなりアグレッシブに吹いていて、「あれ?こうだっけ?外したのか?それとも技なのか?」と素人の私には思うようなところもありました。しかし、今回のように、自分が音楽全体の中に完全に取り込まれてしまう演奏というのは、ロンドンで多くの演奏会には行ってはいるものの、そうはありません。評論家風みたいな言い方は好みませんが、こういった「参りました」と思う演奏では、ベルリンフィルとロイヤル・コンセルトヘボウが抜けていると思います。当分、マーラーの1番は聴きたくないというか、聴きに行けない。
もちろん、拍手は超ド級。ラトルは3,4度、呼び戻されていましたが、まだ万来の拍手が続く中でオケは解散。正直、アンコールが入り込む隙のない、今日のメニューですから、この余韻をもって終わるところがまた素晴らしかったです。
(終演後の拍手に応えるラトル)
(素晴らしいオーケストラです)
(ラトルの左には日本人のコンサートマスター樫本大進さん)
Prom 65: Berliner Philharmoniker
Date Friday 3 September 2010
Time 7.30pm–c9.30pm
Venue Royal Albert Hall
Beethoven Symphony No. 4 in B flat major (34 mins)
interval
Mahler Symphony No. 1 in D major (55 mins)
Berliner Philharmoniker
Sir Simon Rattle conductor
今回のチケットは、Promsオンライン発売開始日に購入をかけたのですが、一番高い座席を希望で出したにもかかわらず、高い倍率を勝ち抜けなかったようで、コンピュータに後ろに廻され、結局今日の席は4階席のそれも最上席という、指定席の中では一番安いものの、一番高いところから聴くことになってしまい、ちょっとがっかりでした。まあ、「東京では、NHKホールの3階席の後ろ部分で、N響の定期公演を聴いていたことを思えば、まだいいか」とポジティブ・シンキングで気分を切り替えましたが・・・。
ただ、終わってみると、この日のコンサートは座席位置などは全く関係ないがごとくの横綱演奏でした。打ちのめされた2時間でした。
前半は、ベートーベンの交響曲第4番。こじんまりとした編成ながらも、重厚さと繊細を併せ持ち、かつキレの良さを感じる演奏に、釘つけになりました。弦はもちろんのこと、木管陣のホール中を突き抜けるような音の美しさに惚れ惚れとしました。
休憩を挟んでの後半の大曲は、マーラーの交響曲第1番。これには、完全KnockOutです。第一楽章から、弦の繊細な響き、木管の個性、金管の爆発が作り出すマーラーの世界。音楽がこんなに立体的な奥行きがあるものだと感じさせ、聴く者に「絵」を浮かび上がらせる、そんな演奏でした。何故、こんな演奏がこの楽団には可能になるのか?人間業とは思えない。不思議でしょうがありませんでした。
第2、第3楽章も4階席から前のめりになって聞く演奏が続きます。そして、第4楽章のフィナーレも言うまでもありません。あのアルバートホールが狭く感じるなんて、今回が初めてです。
やはり、一つ突き抜けたオーケストラと言うのは、個々の演奏者の個性と、そのぶつかりあいの中でのハーモニー、そして指揮者のリーダシップ、この3つが本当にしっかり揃っているものだと、妙に納得しました。ラトルは、動きを止めたかと思うと、激しく演奏者に向かって行ったり、変幻自在です。そしてその中で、「紡ぐ」という表現が浮かんだように、オーケストラから音楽を創っていきました。
今回の演奏が、ベルリンフィルのベストの演奏かどうかは正直わかりません。木管の各奏者はかなりアグレッシブに吹いていて、「あれ?こうだっけ?外したのか?それとも技なのか?」と素人の私には思うようなところもありました。しかし、今回のように、自分が音楽全体の中に完全に取り込まれてしまう演奏というのは、ロンドンで多くの演奏会には行ってはいるものの、そうはありません。評論家風みたいな言い方は好みませんが、こういった「参りました」と思う演奏では、ベルリンフィルとロイヤル・コンセルトヘボウが抜けていると思います。当分、マーラーの1番は聴きたくないというか、聴きに行けない。
もちろん、拍手は超ド級。ラトルは3,4度、呼び戻されていましたが、まだ万来の拍手が続く中でオケは解散。正直、アンコールが入り込む隙のない、今日のメニューですから、この余韻をもって終わるところがまた素晴らしかったです。
(終演後の拍手に応えるラトル)
(素晴らしいオーケストラです)
(ラトルの左には日本人のコンサートマスター樫本大進さん)
Prom 65: Berliner Philharmoniker
Date Friday 3 September 2010
Time 7.30pm–c9.30pm
Venue Royal Albert Hall
Beethoven Symphony No. 4 in B flat major (34 mins)
interval
Mahler Symphony No. 1 in D major (55 mins)
Berliner Philharmoniker
Sir Simon Rattle conductor