前回の『アントニーとクレオパトラ』(
こちら→)に続いて、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのロンドン公演をラウンド・ハウスに観に行きました。今回もローマものの『ジュリアス・シーザー』です。(
HPはこちら→)
つい今しがた観劇から帰って来たのですが、いまだ胸の高まりが治まらないほど、圧倒された舞台でした。私のこれまでの経験では、オペラ、コンサートに較べると、演劇を観て胸の高まりが治まらないという経験はあまりなかったのですが、今回は完全にやられました。
まずは、出演者の熱演ぶり。特に、主人公とも言えるブルータス役のSam Troughtonが初めから最後まで血気迫る演技。まさに「高潔の士」ブルータスの見本を演じてくれた。4幕のキャシアスとの口論から友情の確認までの一連の場面などはジーンときました。あと、アントニー役のDarrell D'Silvaも癖のある大人のアントニーを上手く演じていて、青いブルータスとの好対照が上手く出ていました。
舞台は、「アントニーとクレオパトラ」同様、特にハコモノは殆どないのですが、舞台の背景に映像を織り込み、終始、照明を落とした暗い舞台だったので、戦場やもともとの場面の凄惨さの雰囲気が上手く出ていました。また、戦闘シーンでの雄たけびの声、鉾と盾がぶつかる金属音などの音が舞台の迫力を倍増させていました。
特に前半は、シーザーの暗殺の陰謀から、暗殺、そして有名なブルータスとアントニーの演説シーンまで、山場が続きとおしの1幕から3幕まで1時間45分ぐらいを一気に見せてくれるので、緊張感をもって見守る場面が続きます。前半見ただけで、「もう今夜は十分楽しませてもらいました」と帰っても良いぐらいでした。
ラストシーンのブルータスの自死のシーンは、家来に殺させるのではなく、シーザーの亡霊が出てきてブルータスに止めをさすという設定になっていたのが、オリジナルと多少違う点でしたが、場、台詞は脚本をほぼ忠実に追っています。
今日は満員。演目のせいか、今日の観衆は子供を連れた親子づれから若い学生風の人たち、ビジネスマン・ウーマン、ご年配の方々と、本当に幅広い世代が集まっていたのが印象的でした。英国の演劇文化の幅広さ、深さを感じました。
月並みですが、いやー、よかったです。
※ラウンドハウスのBarコーナー
※カーテンコール(写真はぶれぶれですが、雰囲気だけでも)
RSC “JuliusCaesar”
7 February 2011
Round House
Cast
Joseph Arkley - Remus/Artemidorus/Octavius
Adam Burton - Cimber/Titinius
Brian Doherty - Decius Brutus/Poet
Darrell D'Silva - Mark Antony
Noma Dumezweni - Calphurnia
Phillip Edgerley - Flavius/Popilius/Antony's Servant/Volumnius
James Gale - Cicero/Caesar's Servant/Lepidus/Dardanius
Gruffudd Glyn - Cinna, the Conspirator/Young Cato
Paul Hamilton - Caius Ligarius/Messala
Greg Hicks - Julius Caesar
Tunji Kasim - Romulus/Lucius
John Mackay - Cassius
Patrick Romer - Murullus/Publius/Cinna, the Poet/Clitus
David Rubin - Trebonius/Lucilius
Oliver Ryan - Casca/Pindarus
Simone Saunders - Calphurnia's Servant
Sam Troughton - Marcus Brutus
Larrington Walker - Soothsayer/Octavius' Servant/Strato
Kirsty Woodward - Priestess
Hannah Young - Portia
Samantha Young - Soothsayer's Acolyte
Creative team
Director - Lucy Bailey
Set and Video Designer - William Dudley
Costume Designer - Fotini Dimou
Lighting – Oliver Fenwick
Movement – Sarah Dowling
Music - Django Bates
Sound – Fergus O'Hare
Associate Designer – Nathalie Maury
Fights – Philip d'Orleans
Video System Design – Alan Cox
Video Production – Tim Baxter