ダイポールアンテナの片側をホット、もう片方をコールドとして、無線機から送り出された高周波は、エレメントに流れていき、ホットとコールドが空間を使ってキャッチボールを始める。このキャッチボールが電波を発生させている(そうです)。
1/2波長でうまくいくからダイポールアンテナがよく飛ぶわけです。
片側しかない1/4λのアンテナはキャッチボールする相手がいないのでそのままでは全然飛びません。
良好なアースに接地すると、アースが鏡面効果を発揮、鏡に映った自分自身とキャッチボールをして電波を発生させます。接地抵抗は曇った鏡。抵抗が大きいとその分飛ばない。
モービルホイップも同じ。
1/4λのアンテナ(短縮も含む)の飛びはアース次第と言われるのはこのためです。
アースがわりになるものの一つは1/4λのラジアル。これは地面との容量結合を狙うと言うより、うまくキャッチボールしてくれる長さにして、言わばコールド側のエレメント。
もう一つはカウンターポイズ。こちらは地面との容量結合を狙ったものであたかもそこに地面があるかのようにして鏡面効果でキャッチボールさせる感じです。
1/4λのアンテナは、残り半分のエレメントが無い分を鏡面効果あるいはエレメント代わりのものに担ってもらうアンテナですから、設置状況の影響を強く受けます。
自宅の庭で調整しても移動運用先ではうまくSWRが落ちなかった、ということは良くあることです。
モービルホイップも車を変えたら調整し直しです。
最近コメットからHFJ-350MというFT817,818向けの短縮コイルを切り替えてHF各バンドに対応できる小型のアンテナが発売されました。かつてBNC750というアンテナが他社から出ていましたが、あれのMコネバージョンに3.5MHz用の追加コイルが付いて、お値段そんなに変わらず。お得なアンテナです。
このアンテナ、早速購入して外で試してみました。
1/4λ短縮なので本当にアース次第と言うことが体感出来ます。
FT817にL型変換コネクタを介して取り付けて7MHzを聞くとそれなりに受信出来ますが、817本体に手のひらを当てると信号強度が10倍くらい強くなりました。離すとまたおとなしくなります。
同調点が変化して感度が変化する要素はありますが、それを差し引いても人体がアースがわりになったことの影響です。人体がコールドエレメントになったわけで、電波を出せば人体からも輻射されます。(笑)
ホットとコールドは対、ホットを超短縮、コールドをフルサイズにしてもアンテナとしては成り立ちますから、短縮アンテナを活かすには、波長を合わせたフルサイズのラジアルを付けるとかなり強力なアンテナになるのでは?と思います。
こうしてみると、アース不要で自己エレメントでキャッチボールしているノンラジアルアンテナは移動運用に向いているアンテナと言えるのかも知れません。
たとへ短縮であってもです。GAWANTアンテナが調子よく使えるのは、1/2λの短縮アンテナだからです。