ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

○○君を殺して何になる-光市母子殺害事件の陥穽-

2009年10月21日 | メッセージ
「○○君を殺して何になる
-光市母子殺害事件の陥穽-」
増田美智子著
インシデンツ刊
を読んだ。

かんせい [陥穽]=
人をおとしいれる策略。わな。

これまで、報道されてきた事と
取材で明らかにされた事が
あまりにも違うので驚いた。

「人を殺してしまいたい」
と訴える人への危機介入のカウンセリングや
虐待された人、虐待してしまう親や
DV被害者のカウンセリングを私はしている。
事件の被害者の気持ちを思いやるだけでなく

加害者の生育歴や心理を知りたいと思った。

加害者は、幼少期から父親が母親に暴力を振るい、

かばう加害者も暴力を受けるようになる。
父親からゴムボートを転覆させ溺れさせたり、
浴槽に頭を押さえ、つけらたり
殴られて鼓膜が破れて耳が聞こえなくなった事も。
とうとう、母親は首吊り自殺した。
死体の傍らにいる父親を見て
加害者は、自殺だと思わず、
とうとう父親の暴力が行き過ぎて
母親を殺したと思った。

母親が亡くなっても
加害者は明るく振る舞った。

幼い頃から体験した恐怖。

加害者は、過剰に人に合わせるようになる。

マスコミで大々的に報道された不謹慎な手紙
「被害者さんのことですやろ?
ありゃー調子付いてると…」
も友達の手紙に合わせて書いたようだ。
度重なる面会では、
自分の罪の重さも自覚し、
死刑も覚悟しているようだ。

本を読んで思ったのは
加害者のこどもの頃の耐え切れない恐怖が
攻撃へと変わってしまったのではないか。

こどもは、守られる存在で、
恐怖体験を我慢して育ってはいけない。

面会も数える程しか来なかった父親。

愛情と保護。

最低限必要なものが保障されない場合、
社会がそれをしてあげる事を考えなくてはいけないのでは?

奈良の放火殺人も
加害者少年は、日常的に父親から暴力を受けていた。
加害者少年に愛情を注いだ継母が犠牲になってしまった。

加害者や虐待した親を責めるだけでなく、
虐待や家庭内暴力の連鎖を断ち切ることも必要。
「社会のこども」とは、
社会がこどもを守り、
こどもを愛するという意味だと私は思う。

コメント (2)
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