「わたしは傷を持っている。
でもその傷のところから、
あなたのやさしさがしみてく。」
水彩画・ペン画に詩を添えた作品を口にくわえた筆で創作する詩人、画家の星野富弘さんの言葉より
***
私の最大の「傷」は、親を失ったことかもしれない。
両親が相次いで他界した。
母が急逝して3年も経たないうちに父が後を追うように亡くなってしまったのは、
なんだかんだ言いつつも、共に支えあって生きて来たのだろう。
父は、妻に先立たれても、気丈に振る舞って一人暮らしを続けた。
毎日、母のお仏壇に供えるために白ご飯を炊く父が愛おしかった。
突然、父は倒れて亡くなった。
母の三回忌を終えたばかりだった。哀しかった。
私はその時に、防波堤を失った感覚を覚えた。
防波堤の向こうにある荒波の海があることを
両親が生きている時には、気がつかなかった。
いや、防波堤の存在にすら、気がついていなかった。
荒波の海を見下ろし、海風を感じながらそこに立つ私は、
凛として立ちつつも、私の心は恐れおののいていた。
父の三回忌を終え、今思えば、私の後ろには…子どもたち。
私が生きていることは、子どもたちの心の防波堤になっているのかもしれない。
これが、オトナになるということなのか…。
私は、たくさんの傷を持っている。
でもその傷のところから、
あなたのやさしさがしみてく。」
水彩画・ペン画に詩を添えた作品を口にくわえた筆で創作する詩人、画家の星野富弘さんの言葉より
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私の最大の「傷」は、親を失ったことかもしれない。
両親が相次いで他界した。
母が急逝して3年も経たないうちに父が後を追うように亡くなってしまったのは、
なんだかんだ言いつつも、共に支えあって生きて来たのだろう。
父は、妻に先立たれても、気丈に振る舞って一人暮らしを続けた。
毎日、母のお仏壇に供えるために白ご飯を炊く父が愛おしかった。
突然、父は倒れて亡くなった。
母の三回忌を終えたばかりだった。哀しかった。
私はその時に、防波堤を失った感覚を覚えた。
防波堤の向こうにある荒波の海があることを
両親が生きている時には、気がつかなかった。
いや、防波堤の存在にすら、気がついていなかった。
荒波の海を見下ろし、海風を感じながらそこに立つ私は、
凛として立ちつつも、私の心は恐れおののいていた。
父の三回忌を終え、今思えば、私の後ろには…子どもたち。
私が生きていることは、子どもたちの心の防波堤になっているのかもしれない。
これが、オトナになるということなのか…。
私は、たくさんの傷を持っている。