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突入せよ!「あさま山荘」事件

2008年03月17日 09時47分20秒 | 邦画2002年

 ◇突入せよ!あさま山荘事件(2002年 日本 130分)

 監督・脚本/原田眞人 音楽/村松崇継

 出演/役所広司 宇崎竜童 天海祐希 伊武雅刀 藤田まこと 天海祐希 串田和美 豊原功補

 

 ◇佐々淳行、当時指揮幕僚団

 この「あさま山荘事件」が起こったとき、ぼくはまだ小学生だった。

 でも、教師が授業なんてそっちのけで、教室に置かれてたテレビにかじりついていたもんだから、必然的にぼくたちも延々と観る羽目になり、気がついたら、6時間目まで全部、テレビ中継に終始してた。ところが、ちっとも画面に変化はないんだよ、これが。

 でも、ぼくたちはずっとテレビ中継を観てた。のんびりした時代だった。

 立脚点というか視点というか、撮り手の立場というのは、とっても難しい。原作が実際の担当官だから、突入側の視点になるのは否めない。でも、事件の背景や犯人側の心情もえぐってほしかった、という気分は捨てがたいものがある。

 だって、主題が「あさま山荘」なんだから。

 これを書き始めて、黒澤明の『暴走機関車』をおもいだした。ハリウッド版の脚本では、暴走する機関車にたまさか乗り込んでしまった人間たちの、それまでの過去が丁寧に語られていて、黒澤はそれが気に入らなかったらしい。活劇というのは、因縁話なんていらないんだっていう意見によるものだ。

 この「あさま山荘」については、どうだろう?

 突入する側の視点から描かれているから仕方がないんだけど、ぼくとしては「あさま山荘」にいる人間については知りたかったんだけど、突入する側の葛藤はその場での葛藤だけに留めてほしかった気もする。主役の家庭の話は裏話に留めておいてもよかったんじゃないかと。だって、観客は「あさま山荘」の攻防と真実が観たいし知りたいんだもん。

 ちなみに、物語の展開もやや緩慢な印象ではあるけれど、いやまあ、撮影は頑張ってました。

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