◇日本橋(1956年 日本 111分)
監督/市川崑 音楽/宅孝二
出演/淡島千景 山本富士子 若尾文子 品川隆二 船越英二 沢村貞子 川口浩 浦辺粂子
◇追悼市川崑その4
様式美の発露は見られるし、男と女の如何ともし難い業の哀しさもよくわかる。
でも、もうすこし、鏡花らしい妖しさが欲しかったなと。
あ、品川隆二の二枚目時代は貴重だ。
ただ、セットはいかにも往時の代物で、こればかりは仕方ない。ただ、市電の走りっぷりは、頑張ってる。なんというか、市電がなくなり、東京の風景は変わり、日本橋ももう観る影すらない。でもさ、変わり果てたのは風景だけではないんだよね、たぶん。
だって、いまの時代に『日本橋』のような男と女の修羅場と合縁は見られないもんね。
ああ、それと、これは市川崑とは関係ないんだけど、映画化されたのは溝口健二の方が先で、1929年のサイレント映画だ。ところが、このフィルムはフィルムセンターにもなく、幻の作品なってる。う~む、観てみたいぞ。