◎バンテージ・ポイント(2008年 アメリカ 90分)
原題/Vantage Point
監督/ピート・トラヴィス 脚本/バリー・L・レヴィ
撮影/アミール・モクリ 美術/ブリジット・ブロシュ
編集/スチュワート・ベアード シグヴァルディ・ジェイ・カラソン ヴァルディス・オスカードゥティル
衣装/ルカ・モスカ 音楽/アトリ・オルヴァルッソン
出演/デニス・クエイド シガニー・ウィーヴァー ウィリアム・ハート マシュー・フォックス
◎作れるようで作れない
8つの視点できわめて短い時間を描き切るのは難しい。これが何日にもわたった話だったら、なんの問題もない。ふつうの3人称ってことになるわけだし、おなじ場面を視点を変えて撮影したところで、観客はまったく意に介さないだろう。
でも、暗殺事件の前後数十分という時間帯の中で、8つの視点を設けるっていうのは、かなりの冒険だ。
ここへもって出演者も渋めで、揃えてる。好感は持てるけど、これもまた冒険であることには変わりない。
車の追撃は、結局、半径200m程を回っただけかいっていう拍子抜け感はあるものの、迫力は凄い。
ま、たしかに、犯行理由と背景は語られなさすぎではあるんだけどね。でも、そんなことはおいといていいんじゃないかって気もする。映画っていうのは、なによりもまず、映像に魅せられなくちゃ駄目で、そうしたところ、この作品はめちゃくちゃ説得力があった。
映画にかぎらず、モノづくりってやつはつねに冒険してなくちゃだめなんだよ、たぶん。