◎あなたの旅立ち、綴ります(2017年 アメリカ 108分)
原題/The Last Word
監督/マーク・ペリントン 音楽/ネイサン・マシュー・デヴィッド
出演/シャーリー・マクレーン アマンダ・セイフライド アン・ヘッシュ トム・エヴェレット・スコット
◎死亡記事を書かれたい
アメリカと日本とじゃかなり違いがあるみたいで、日本人の場合、現役の芸能人はそれなりに大きく死亡記事が掲載されるものの、なかば引退した観のある芸能人やスポーツ選手どころか、一般的な人間はおしなべて大きく取り上げられたりはしない。新聞の片隅の、小さな死亡欄に押し込まれるのが落ちだ。
日本とよく似た状況にあるなあと感じたのは、やっぱりアメリカもネットに圧されて新聞は売れなくなっているってことだ。なるほど、どこもおんなじなんだね。
ところで、この作品、シャーリー・マクレーンとアマンダ・セイフライドがふたりして制作に名前を連ねてる。自分で出資して映画を作るってのも、日本じゃなかなかない。なんでだろうね、製作における技量が違うのかな。それとも自分で映画を製作して世になにか問いかけてみたいとか主張したいとおもったりするってことはないんだろうか?
映画は、前半、もたついてる。ディスクジョッキーになろうとするのがちょっと遅すぎるに、伏線はほとんどなくて唐突な感じは否めない。なによりよくないのが、シャーリー・マクレーンが嫌われ者っていう設定なんだけど、どうにもそうは見えないところだ。自分が間違ってたと感じたときだけ、けらけら大声で笑うっていう設定はいいにしても、それを聞かされたすぐあと、彼女はアマンダ・セイフライドの前でも含み笑いをしたり、普通に笑ったりしてる。なんだか、ちょっとね。
まあそれはともかく、嫌われ者っていうより厄介者なんだけどやっぱり憎めない女なんだよなとかって元夫がいったりしたらたしかに物語にはならないけれど、どうにも嫌われ者に見えないのは、あかんね。だって、すぐにディスクジョッキーになれちゃうんだもん。嫌われ者はそうならないし、人気も出ないんじゃないかしら。だから、うん、ちょっとね。
でもまあ、ありあまったお金をもった老婦人が、その死の直前に自分の孫のような女の子に出会って、彼女が生きていくための勇気と根性とちょっぴりの処世術と餞別を送ってあげるっていう、なんとも定番ながらちゃんとした物語に仕上がってたって気もするな。