◎アムー 負けない心(Ammu)
家庭内暴力はどこの国もおなじで、暴力に走る沸点が低いのはわかるとしても、発火点がよくわからないといわれる。でも、おそらくは、言われても解決させられないことを突きつけられたり、気にしていることや図星をさされたりしたときにおもわず我を失って手が出るんだろう。
このチャルケシュ・セカル演出の映画もそうで、アイシュワリヤー・レクシュミにはなんの嫌味もないし、ただ夫に尽くそうとしているのに、自分でもわけがわからない内に暴力をふるわれる。しかも夫アイシュワリヤー・レクシュミは警部で、部下たちの信望も篤く、上からの評判もいい。四面楚歌というのはこういう妻をしていうのだろうが、翌日になると夫はけろっとして、もっといえば、猫変わりして優しくなる。愛していると囁き、ひたすら謝り、けれど、またすぐに暴力が始まる。
どこもおなじだ。
で、映画では、妻の復讐が始まる。おひとよしの犯罪者を自宅に匿い、それで夫の足元を掬って復讐を果たそうというのだけど、現実は難しいんだろうね。それにしても、台詞をいうときに顔がゆれる。舞台みたいだ。