Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Landscape30. 山陽路・木江町木造5階建て

2008年02月21日 | field work
 日本の風景において、国際的な視点から美的価値があり、誰しもが納得できる固有の特徴が見られるのは、奈良・京都と北アルプスの涸沢周辺地域だけです。奈良・京都は1300年の時系列的蓄積に秀でており、涸沢以上は、標高3,000mと地理的特異性で秀でています。これらは、日本の他地域では見られない特徴を持った風景であることは明白です。従って日本を知りたければ、この二つを見ればよい。しかし、そんな通事的且つ共時的美学的見地を留保し、そのほかの視点から優れた風景に接することができる地域は、実は日本には大変数多い。それも先ずもって観光ガイドでは紹介されない地域ばかりです。
 そこで、今日は大崎上島にある木江町という普通の風景を紹介したい。瀬戸内海は、古くから海上交通が開けていた地域であることに関しては歴史を参照されたいが、それだけにつとに有名な水上水軍を持ち出すまでもなく、随所に歴史性を感じる地域が多々あります。ここにあげた木造5階建ての油屋がある木江町の集落もそんな一つだろう。社会から忘れられたような地域に、木造5階建ての必然性が、いつ、どんな理由であったのだろうかと類推する事は大変楽しいことです。そうした史実の検索は、今後の暇なときの課題にしておきましょう。
 ここでは、単純に木造5階建ての妙を、感じ取るだけにして、どこか往事の華やかさが残る木江町を徘徊しつつ、 平野部の少ない狭隘な瀬戸内の島々だからこそ、建築の高層化には熱心だったのだなと、類推するのに留め、次は御手洗に行こうと思います。
 
EOS Kiss Digital,SIGUMA F3.5-5.6/18-125mm
EOS3,EF F3.5-5.6/28-135mm
エクタクローム
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 Landscape29. 山陽路・工場島

2008年02月21日 | field work
 今日は、広島国際大学の先生が、車で視察に連れて行ってくれる。竹原港からフェリーに乗ると右側に東邦亜鉛契島精錬所が見えてくる。デッキからの視覚では、いくつもの島が重なっているので、島とは気づかないが、地図でみると四方を海で囲まれたれっきとした島である。島全体が精錬所であり、これを工場島と呼んでおく。島全体が生産工場街で覆われているといった類似空間では、産業遺産の長崎県軍艦島がある。
 契島精錬所は、現在も稼働しており、竹原港からフェリーが頻繁に出ている。東邦亜鉛といえば、山麓から頂上にかけて山の斜面全体を工場とするなど大変迫力ある風景が見られる群馬県安中精錬所がある。これらのメカニカルな工場建築を見ていると、様々なデザイン・インスピレーションが湧くので、個人的には大変好きな風景である。
 地域開発のプロジェクトに関わっていると、最初に土地ありきというケースが多い。その理由は、かって自社用地として購入しておいたが、活用方法がないので放置していたといった場合が多い。
 瀬戸内海には約3,000の島がある。常々私は、そんな小さな1つの島全体を開発するといった地域デザインをしてみたいと思う。島は、デザインをしてゆく上で、空間的な完結性をもっている。それ故に発生してくる狭隘さには、魅力的な路地空間等が、また高低差のある地形には、多彩な変化ある風景を作り出すことができる。これらを複合化すれば、地中海の島嶼のように、島毎に個性と魅力ある大変素晴らしいリゾート環境が形成できる。
 私は、今でも島を対象とする新規プロジェクトのスケッチをしており、こんな風にしたいというイメージは、数多くできあがっているのだが、実現には至らない。現状では、せいぜいセカンドライフのバーチャル・アイランドでシミュレーションしたのに留まっている。
 
EOS Kiss Digital
SIGUMA F3.5-5.6/18-125mm



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