竹原市は、食料品、木製品や家具、窯業、一般機械などの製造を行っている工業都市である。そんな都市の一角に国重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の竹原がある。竹原は、中世末期頃より港をひかえた集落として立地していたが、江戸中期塩田開発により町は発展し、財をなし、それが近世の様式を持った町並みを形成してきた。こうした商家の建築様式は、二階建て・切妻造・本瓦葺・大壁造に加え、妻入りと平入りの建物が混在し、また全面には出格子、平格子、たて格子、横格子と多彩で変化のある町並みが、本通り沿いに形成されている。
裏通りにゆくと、生活感が漂っている。竹原をはじめ多くの伝建地区は、実はこの裏通りの生活道路によって伝建地区が成立している。表通りは観光客の視線にさらされる上、歴史遺産である民家群は、例え寒く住みづらくても、往事の建築様式を維持しなければならないので、修復には大きな制約が課せられる。そのことは居住者にとてった大変暮らしにくい要素となる。そこで、表通りに景観上の顔を向け、歴史的建築様式を維持しながら、裏通りに向かってプライベートな空間を設え日々の暮らしを営んでいる。このように表通りを挟むように裏を生活道路とすることで、歴史資産維持と日々の生活とを両立させているのである。
たがともすれば、よく手入れされた生活感のない表通りは、歴史テーマパークの書き割りのようでもあり、白々しく退屈な風景でもある。そこで路地を曲がり生活感漂う風景を探し歩いた。上段の写真は、西芳寺に登ってゆく階段から撮影した。春の早い夕暮れ時の、とても素晴らしい路地からの風景だった。春は卒業や就職など、人生の節目の時期であり別れが多い。山陽路の老年期の緩い地形と弱い春の光には、そんな寂しさがたっぷり漂っている。そんな中を私達は、竹原の町を見下ろせる西芳寺に上がっていった。
EOS3,EF F3.5-5.6/28-135mm
エクタクローム,CanoScan.
裏通りにゆくと、生活感が漂っている。竹原をはじめ多くの伝建地区は、実はこの裏通りの生活道路によって伝建地区が成立している。表通りは観光客の視線にさらされる上、歴史遺産である民家群は、例え寒く住みづらくても、往事の建築様式を維持しなければならないので、修復には大きな制約が課せられる。そのことは居住者にとてった大変暮らしにくい要素となる。そこで、表通りに景観上の顔を向け、歴史的建築様式を維持しながら、裏通りに向かってプライベートな空間を設え日々の暮らしを営んでいる。このように表通りを挟むように裏を生活道路とすることで、歴史資産維持と日々の生活とを両立させているのである。
たがともすれば、よく手入れされた生活感のない表通りは、歴史テーマパークの書き割りのようでもあり、白々しく退屈な風景でもある。そこで路地を曲がり生活感漂う風景を探し歩いた。上段の写真は、西芳寺に登ってゆく階段から撮影した。春の早い夕暮れ時の、とても素晴らしい路地からの風景だった。春は卒業や就職など、人生の節目の時期であり別れが多い。山陽路の老年期の緩い地形と弱い春の光には、そんな寂しさがたっぷり漂っている。そんな中を私達は、竹原の町を見下ろせる西芳寺に上がっていった。
EOS3,EF F3.5-5.6/28-135mm
エクタクローム,CanoScan.