Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

京都暮らし31. 余暇考

2009年06月18日 | field work
 徳沢園に向かって梓川沿いを登ってゆくと、涸沢や北アルプスから、降りてくるシニア世代の登山者達とすれちがった。私自身登山者ではないが、これまでに涸沢迄は何回も登っているから、シニア世代ばかりが泊まる辛気くさい山小屋の空気を思い出していた。今時登山なんてヤング世代はあまりしない。
 地元の方の話によると、上高地にやってくる人達はみんな老人達ばかりだ。20年後にこの人達が他界したら、その先はどうなるんだろう。また伝統ある信州大学の登山部員が、今では10人足らずだ、キャンプ場に設営した無料テントは誰も利用しない、この先暗い事ばかりだという話を聞いた。
 そういえば、先日大学の実習授業で現地調査の際に、女子学生達とお茶をしながら夏休みの計画を尋ねた。
 ある彼女曰く、「ゲームソフトを1週間で攻略して、6巻やるんだ、そうすると夏休みが終わるし、外へ出ると日焼けするからヤダ」という返事だった。今では家の中もエアコンがあり、BSやCS放送も見ることができ、快適に暮らせる環境である。だから家の中にこもって、あまり外に出たがらない「引きこもり族」が増えたというのは、実感としてよくわかる。
 こうした些細な現象を捉えてみても、20世紀から21世紀にかけて余暇スタイルの大きな変化が顕著である。例えば、かってはヤング層の利用が主であった我が国スキー場における利用者数の大幅な低減は、それまで地域経済を支えてきた産業の一つとしては、大きなダメージと課題を発生している。さらに余暇全体に視点を拡大しても、アウトドアからインドア志向への変化は、余暇産業の構造的な変化となる。
 ではこれから地域や余暇経済にとって余暇とどう関わってゆけば良いのか。実は研究者の立場からの、こうすればとする方向性は見えているが、多くの立証作業を伴うのが研究の常である。
 そんなことを考えながら、上高地を歩いていた。そこで北アルプスのブログ用写真をと思ったが、今回は涸沢まで上がっていないうえ、山はガスっていたので、過去に涸沢から撮影した画像をアップさせた。もう秋かよっ!と言われそうだね。

2007年秋、北穂高岳
CanonEOSkiss Didital,SIGUMA18-125mm/F3.5-5.6
コメント
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