Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

京都暮らし32. 普通のトレッカーとして

2009年06月19日 | field work
 北アルプスの夏は短い。今ごろの涸沢だと、まだ十分に雪渓が残っており、天気も7月は安定しない。7月末になれば雪渓も消え、8月は登山シーズンとなり、台風の影響さえなければ天気も安定しており、絶景も比較的容易に眺められる。そして9月の終わり頃から紅葉が始まり、シーズンの終わりを迎える。調度3ヶ月足らずの春・夏・秋である。
 涸沢に至る登山道がある北斜面ではハイ松などの森林下界も2,000m位であり、それを越せば高山植物が出現し、やがて岩肌にとって変わる。そんな風景は、多数の3000mの峰を要する中部山岳国立公園だけであり、日本離れした風景である。そして私の好きな風景である。
 私自身高校時代にワンダーフォーゲル部で奥秩父の山々を歩いた程度であり。その後山にゆく機会がなかったので、普通のトレッカーである。だから、いつも涸沢止まりである。今ではそれで十分だと思っている。今思うと、大学時代に山岳部に入って登山技術を習得しておけばよかったと、思うときもある。
 北アルプスは絶景もあるが、精一杯神経を張り詰め緊張して通り抜けなればならない、大変恐怖感ある岩壁ルートも多々ある。例えば、この写真左の奥穂高岳が一部見えるが、そこからさらに左側に行くと現れるジャンダルムなどは、日本最難関のルートだろう。靴幅程度の細いルートを鎖をつかみながらトラバースし、ステップを間違えて落ちれば1,000mは落下し命はない。そこは技術があることはもとより、緊張感が持続できる忍耐と体力がある若いときでなければ、このルートを通ることが出来ない。個人的には、そんな生死を伴う気持ちの悪くなる恐怖を体験しなくて幸いだったと思うときもある。山は下から眺めるだけで十分だと、今でも思っている。
 こんなことを書くと、文章を書くのにも緊張してしまう。肩が凝るので、この辺にしておこう。今日は朝早く、東京にゆかなければならない。気が重たいが、登山よりはいいかと思っている。普通のトレッカーで十分である。

2007年秋、涸沢カール
CanonEOSkiss Didital,SIGUMA18-125mm/F3.5-5.6

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