番外編140. 空間の感覚

　沖縄に駐留している米軍がもたらしたものの一つにアメリカ文化がある。その典型例が外人住宅だ。例えば広いキッチンとこれにつづくユーティリティは、現代日本のウサギ小屋マンションにも及ばないほど大変使い勝手の良い空間だ。万事空間の広さが不便を解決してしまう。そして十分な広さの庭がついている。こうした生活上必要十分な広さを設えるのがアメリカ文化である。
　沖縄にはかっての外人住宅が幾つかあり、今回は浦添市港川の住宅群を視察した。コンクリートブロック造で陸屋根と合理主義のかたまりのような住宅である。現在は、外人住宅自体が日本人に払い下げられ、カフェやエスニックレストランと言った店舗に利用されている。車が2台置ける庭がうらやましい。
　日本の住宅にないのは、その感覚である。狭さの美学はあるが 、広さの美学が日本の住宅ひいては日本文化自体に欠落している部分である。それは時にうらやましい文化だと思う。
　外人住宅近くの国道58号線沿いに米海軍の基地がある。1辺がおよそバス停3~4箇所ぐらいの長さを持っている。空間の感覚が全然違うよなと思って眺めていた。あの感覚は、うらやましくもある。
　そんなわけで、沖縄に残るアメリカ文化でも探して歩こうかと思った。これは今後の課題としておこう。

浦添市
EOS1Ds Mark3　EF16-35mm/f2.8
ISO100,焦点距離30mm,露出補正0,EV,f6.3,1/160