最初のプランは、土地がなかったので叔父さんの家の隣でも買うか、借りるかして建てたらとする考え方だった。だからどこにでも建てられるように正方形の平面としていた。
最初に考えたのは、フィリピンの湿度である。だから主要居室を2階に設定し、1階は定食屋にでもしようという提案だった。叔母さんがホテルで調理をつくっているので、可能だったし、それに近所のパン屋の親戚もいるし、農家もあるのだから食材も売れば良いではないかとする提案だった。このためにマーチャンダイジングプランまで作成したが、既にデータが無くなっていた。
建築プランは1階がRC像であり、2階を木造とし構造の付加を低減している。2階のプランは、ユニロツトバスや倉庫をのぞき、間仕切り壁やドアをすべて廃して、オープンなひとつの空間をつくることを考えた。こうすることで、大変風通しの良い家になる。風通しはフィリピンでは必須の住宅仕様である。ベッドルームとリビングの間も高さ1.5mのローパーティションである。
またアイランド型のキッチン、洗濯パン、ユニットバスなどを一カ所に集めることが、家事動線の短縮と配管設備の集約をおこなっている。家事をしてゆくうえでは使い安い動線である。玄関をはいるとキッチンと寝室にゆく動線に二分されるが、どうせ家に来るのは身内の人間達なのでお構いなしである。
こんな家を考えていると、現代の日本のマンションのように、間仕切り壁で各居室を仕切り廊下でつなぎ個別空調とする考え方は、陰惨な空間であり、当然日本の気候風土になじまない。私から見れば感染病棟のようであり、こんな居住性の悪い住まいが東京では億ションとして売られている。そんな居住性が悪い家が販売されていること自体が私には驚きである。
最小のプランの2階平面図
1階平面図