映画 コーヴ を見て。 イルカからオショロコマへ。
ビデオ屋で何となく借りてきたDVD で何となく The COVE コーヴ(入り江) をみた。
米国などのイルカ愛好家たちが 和歌山県太地町の入り江(コーヴ)で1969年から行われてきたイルカの虐殺現場を、トラブルを嫌う現地警察や、イルカ漁師たちの執拗な妨害をかわして設置した隠しカメラで撮影するまでの ドキュメンタリー映画。2009年に米国で最初に上映され、太地町のイルカ追い込み漁の残酷シーンが世界中に注目された。
狭い網の中に追いつめられたイルカたちが次々とモリで突き殺される。逃げまどいのたうち回るイルカたちの大量の血しぶきで美しい入り江は文字通り真っ赤に染まってゆく。イルカ漁の期間中真っ赤に染まるこの入り江は、立ち入り禁止にされており現地の人も容易には近づけない。
日本近海では毎年2万数千頭のイルカたちが捕獲されているという。
なんだか 馬 牛 ブタ 羊などの(食肉用)動物愛好家やベジタリアンたちが 艱難辛苦のすえ部外者厳禁の場へ忍び込んで 風景を隠しカメラで撮影してきわめて効果的に編集し、凄惨な殺戮現場をあえて映画にしたような感じがしないでもない。
最初は単純にそう見えた。
イルカの音響感知能力は想像を絶するほど鋭敏なもので、たとえば水中の妊婦の胎児の心音をも正確に聞き取れるとたとえられる。
逆に言えば大音量の騒音などは、まったく耐えられない。この特性を利用してイルカの嫌う大きな音でイルカをパニック状態にして追いつめ網に囲い込むのが和歌山県太地町で古くから行われているイルカ追い込み漁だという。
古くからというと古代からの伝統文化・食文化だと錯覚されそうだが、実際に現在の形での大規模なイルカ追い込み漁が始まったのは1969年である。
400年昔から、古来からの食文化や伝統というのは当たらず、いまや金儲けの為の大規模イルカビジネスといったほうが正しいかもしれない。
私はまったく知らなかったが、水族館やシーワールドなどでショーの圧倒的人気者のイルカたちが、彼らにとっては耐え難い大騒音のなかでの生活を余儀なくされ、毎年かなりのイルカたちがストレスのため死んでいるというのだ。
野生のイルカは35年ほど生きるが水族館での生存期間は平均7年という。
刑務所に入った人はむしろ長生きするという人間社会と較べると相当過酷な環境だ。
普通は一日60Km は泳ぐイルカが狭い水槽に閉じこめられ、騒音はじめ種々のストレスで多くのイルカが胃潰瘍をわずらっているという。ただ 海産ほ乳類を終宿主とするアニサキスがイルカ胃に寄生すると、そこに大きな胃潰瘍をつくることは知られており、それとの鑑別はどうなのだろうか。
世界各地の水族館などでは、死亡した人気者イルカはこまめに補充しなければならない。
その殆どが 日本の和歌山県太地町の このコーヴ(入り江)から供給されているというのだ。
生きたイルカは普通1頭75〜150万円前後、売れ残ったイルカは子供もふくめて皆殺しにされ1頭6万円ほどで鯨肉として売られているというのだ。太地町の水族館はイルカショーでも人気があるらしいが、そこで同時にイルカの肉を売っているのはイルカ愛好家の視点からはブラックジョークそのものだ。
さらに太地町立クジラの博物館では漁師から75万円で購入した生きたバンドウイルカを中国の水族館へ一頭約520万円で売却したこともあるという。この世に、こんなおいしい商売があろうか。
世の中、いろんな立場の人がいると思うが、私は個人的にはイルカが殺されるのには嫌悪感をおぼえる類の人間に属しておりイルカ虐殺には反対だ。
イルカは知能も高く人間の友達みたいな、まさに癒し系の生き物だ。実際心が通じ合える生き物だとおもう。
北見市近郊の能取湖に住み着いているシロイルカに一度会ってみるとよい。これをコーヴ風に殺したり食べたりすることは私には出来ない。
友達を殺してその肉を食べるなど今現在の私には考えられない。一般的な家畜さんたちには大変申し訳ないがイルカは別格と言わざるを得ない。
いくら長年 ??? の伝統文化だ、食文化だといっても今や実際にはきびしい地域経済を担う重要な金儲けビジネスにすぎない格好になった太地町イルカ囲い込み漁。
コーヴを見たあと、心情的には太地町のイルカ漁は止めてほしいと強く思った。食料資源が限られたはるか昔と は異なり、今はそういう時代ではなかろうか。
現在、日本人の多くはイルカ肉を食べてはいないだろうし、クジラ肉の需要そのものが激減しつつあるという。イルカの町、太地町の人々からはこっぴどく叱られ、ののしられるかも知れないがそれは現実だ。
また、イルカ肉に含まれる総水銀 メチル水銀 PCB の実測値は 国の基準 ( 総水銀 0.4ppm メチル水銀 0.3 ppm PCB 0.5ppm )を遙かに超えており、少なくとも私は決して食べたくない数値が示されている。
ただ、一時期激減した愛らしいエゾシカを厳重に保護した結果、爆発的増加をもたらし、いまや北海道では自然破壊のかぎりをつくすようになった現実もある。今は必死にエゾシカを駆除しているがとても追いつかない。
近年ヒグマも似たような状況にあると思う。私をふくめ人間は常にダブル、トリプルスタンダードな生き物だ。イルカや鯨の保護も全面禁止となった場合、そういった側面がでてくる可能性もあり、日本の調査捕鯨といったスタンスは多少は現実問題として理にかなっているのかも知れない。
海の食物連鎖の頂点近くに位置するクジラたちが、エゾシカみたいに増えすぎた場合はどんなことになるのかは想像することすら恐ろしすぎる。
しかし、クジラのなかでも激減している種族のほか、イルカは多くの意味合いで別格だ。
かって知床半島ウトロ側海域にはおびただしい数のイルカの群れが棲んでいた。
この事実を知っている人は、もうあまりいないかも知れないが、半世紀以上昔、かって知床観光船でウトロから知床岬へむかうとおびただしい数のイルカの群が追ってくる人気の光景があった。私は子供心にその圧倒的光景に強い感動を覚えたのを思い出す。
あるとき、網走や斜里の港に次々とイルカが水揚げされトラックで運び去られるようになった。その数は急激に増えはじめ環境保護団体が調査に入った頃には知床半島ウトロ側海域のイルカの群れは壊滅、あっと言う間にこの世から永遠に消えてしまった。
青森方面からのイルカ漁船団の仕業であったと言われているが真相は今も謎だ。
コーヴを見て、一般的な(調査)捕鯨には特に反対ではない私は、恐らく一般の方々とは別な意味で、この映画にとても強い共感を覚えた。
それはイルカが好きで好きで好きでたまらない人々がいて、各地の人気水族館での、ある意味悲惨なイルカショーや太地町でのイルカ虐殺はなんとか止めさせたい。
しかしイルカショーで動く莫大なお金や、生きたイルカ販売、イルカ肉を鯨肉として販売して生計をたてる漁師たち、イルカにかかわるもろもろで成り立つ地域の存在、その他多くの理由で、どうしてもイルカたちを救うことができないでいる無念さ・むなしさがひしひしと伝わってくる。
それでもなんとかしたい、なんとしてでもイルカを救いたいと懸命に努力する姿だ。
いまだにニジマスを特定外来種に指定するなどとてもおぼつかず、稀少なオショロコマなどの生息可能水域にニジマスを放流することの禁止・啓蒙もおぼつかず、ニジマスの害に関してはひたすら見てみないふりをする行政や所謂学識経験者、マスコミ、釣り雑誌 など、それぞれの立ち位置による問題もあろうが、本当によく似ているとおもう。
私はニジマスによるオショロコマ被害について盛んにこのブロブで紹介してきた。
当初、ニジマスによってオショロコマがいなくなった渓流など実際にあるのだろうか? などと無知をさらけだすお馬鹿な釣り雑誌編集者までいたが、さすがに最近ではそんなお馬鹿はいなくなった気配を感じる。
現場をまったく知らない事に由来する無知とは怖いものだ。
その意味ではコーヴを撮影、この世に出したイルカ愛好家たちはさすがだとおもう。
ところで。
私は絶滅危惧種オショロコマの棲息水域心臓部に侵入した攻撃的外来魚ニジマスは徹底駆除する一方で、いまや完全なニジマス川になってしまった水域や、もはやニジマス駆除の意味がないような場所では、さりげなくニジマス愛好家に変身、大いにニジマス釣りを楽しみキャッチアンドリリースに徹しています。
映画コーヴに啓発され、イルカの過酷な境遇に深く感じ入る一方で、私は品川で見物したイルカショーに大感激、涙さえ流して拍手喝采をしてしまったことがあります。
孫たちにせがまれれば、イルカの過酷な境遇を説明してイルカショーに行くのを止めるというよりは、きっと二つ返事で快諾してしまいそうな気がします。多少、物事が理解できるようになれば実状を話してみたいとは思いますが。
人を傷つけたり殺してはいけないと教育されて育ちながら、戦争状態になれば出来るだけ沢山のヒトを殺すと誉められる。日本はたまたま、この70年ほどそれから遠ざかっていますが世界中では今も各地で広く合法殺人は行われてます。
条件付きのダブル、トリプル、さらにクワトロスタンダードなどで生きている、いまのところそれが人間の悲しい、または、かしこいサガなのでしょうか。
その後、ビハインド・ザ・コーヴ という記録映画が作られたことを知りました。
まだ見ていないので論評できませんが イルカ殺すな といった話を一般的な捕鯨容認か、捕鯨反対かという問題へとふくらませ焦点を大きくずらせたものでしょうか。
コーヴ は反捕鯨に利用されることが多いようですが、私が感じた範囲では単純にイルカ大好きな人間たちが イルカを殺すな と叫ぶ映画にしか見えませんでしたが。
ビハインド・ザ・コーヴ に対抗して ザ・コーヴ 2 の制作計画もあるそうです。
イルカ殺すなといった単純な話が 反捕鯨か、はたまた捕鯨容認かの戦い へと大きく利用され、ゆがめられて膨らんでゆきそうな気配です。
コーブ上映の後、これは反日啓蒙映画だ、上映したらただでは済まないぞと街宣車で騒ぐ団体、
おいらの国の古来の伝統、食文化に口をはさむなど余計なお世話だ、
それじゃあもっとスマートに残酷でない殺し方をすればいいんだろう、
隠し撮り映像を一方的な視点で編集して見せるなど卑怯すぎる、
やらせ映像もあるじゃあないか、
かって単に鯨油をとるためだけに世界中の国々がこぞってクジラ大虐殺をおこなったくせに、
etc... etc.........激しい反発を示す日本人の反応がとりわけ目立ったことがうかがえる。
しかし、いまだ捕鯨をしているごく少数の国を除けば、今のところは世界の潮流は明らかに反捕鯨に固まっている。
おそらくクジラ、少なくとも積極的なイルカ殺しを推奨する人は、日本人でもさほど多くはないと思うし、こんな状況を知ってしまえば、あえてクジラ肉を所望する少年少女は稀だと思う。
近い将来、クジラ肉を食べる食文化は、よほどの状況変化がないかぎり自然消滅してゆくと私は思う。
ところで。
今回、この記事を書くために私はネットサーフィンの限りを尽くして コーヴ関連 捕鯨問題などのにわか勉強をしたのですが、一つ気になったことがあります。
それは、水族館のイルカショーに出ているイルカたちの現状がそんなにも過酷なものなのか、本当にこの先自然界では平均35年も生きるイルカが水族館での飼育やショー出演の生活で 平均わずか7年 で死んでしまうという報告です。
現実にイルカショーは莫大なお金が動く、いまや日本のそれなりの水族館にはかかせないイベントですがその実態はどうなのでしょうか。
シャチやイルカを水族館のエンターテインメントに利用することの問題点を扱った Black fish 2013という映画が 公開され、その影響か米国ではこれらのショーをはじめ水族館でのシャチなどの海産ほ乳類の繁殖を禁止する動きがでたようですが最近はどうなのでしょうか。
近年、世界各地でイルカを水族館の狭い環境で飼育することそのものが残虐行為であるとして、イルカの飼育やショーの禁止が相次いでいるようです。
なかには今水族館で飼育中のシャチやイルカを海にもどそうとする動きもあるようですが、今更海に戻されても水族館での生活に慣れており野生の生活は難しいでしょう。
捕鯨問題に続いて日本のイルカショーについても世界の目がきびしくなるかもしれません。
イルカショーの写真はすべて 2018-8-18 に私が撮影したものです。
PS : 北見市近郊の能取湖に住み着いていた♀のシロイルカは 2020-6-4 船のスクリューで頭部に致命傷を受け死亡が確認されました。悲しい事故です。
最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の 渓流釣りバナー をワンクリックしていただければ幸いです。
にほんブログ村
にほんブログ村
ビデオ屋で何となく借りてきたDVD で何となく The COVE コーヴ(入り江) をみた。
米国などのイルカ愛好家たちが 和歌山県太地町の入り江(コーヴ)で1969年から行われてきたイルカの虐殺現場を、トラブルを嫌う現地警察や、イルカ漁師たちの執拗な妨害をかわして設置した隠しカメラで撮影するまでの ドキュメンタリー映画。2009年に米国で最初に上映され、太地町のイルカ追い込み漁の残酷シーンが世界中に注目された。
狭い網の中に追いつめられたイルカたちが次々とモリで突き殺される。逃げまどいのたうち回るイルカたちの大量の血しぶきで美しい入り江は文字通り真っ赤に染まってゆく。イルカ漁の期間中真っ赤に染まるこの入り江は、立ち入り禁止にされており現地の人も容易には近づけない。
日本近海では毎年2万数千頭のイルカたちが捕獲されているという。
なんだか 馬 牛 ブタ 羊などの(食肉用)動物愛好家やベジタリアンたちが 艱難辛苦のすえ部外者厳禁の場へ忍び込んで 風景を隠しカメラで撮影してきわめて効果的に編集し、凄惨な殺戮現場をあえて映画にしたような感じがしないでもない。
最初は単純にそう見えた。
イルカの音響感知能力は想像を絶するほど鋭敏なもので、たとえば水中の妊婦の胎児の心音をも正確に聞き取れるとたとえられる。
逆に言えば大音量の騒音などは、まったく耐えられない。この特性を利用してイルカの嫌う大きな音でイルカをパニック状態にして追いつめ網に囲い込むのが和歌山県太地町で古くから行われているイルカ追い込み漁だという。
古くからというと古代からの伝統文化・食文化だと錯覚されそうだが、実際に現在の形での大規模なイルカ追い込み漁が始まったのは1969年である。
400年昔から、古来からの食文化や伝統というのは当たらず、いまや金儲けの為の大規模イルカビジネスといったほうが正しいかもしれない。
私はまったく知らなかったが、水族館やシーワールドなどでショーの圧倒的人気者のイルカたちが、彼らにとっては耐え難い大騒音のなかでの生活を余儀なくされ、毎年かなりのイルカたちがストレスのため死んでいるというのだ。
野生のイルカは35年ほど生きるが水族館での生存期間は平均7年という。
刑務所に入った人はむしろ長生きするという人間社会と較べると相当過酷な環境だ。
普通は一日60Km は泳ぐイルカが狭い水槽に閉じこめられ、騒音はじめ種々のストレスで多くのイルカが胃潰瘍をわずらっているという。ただ 海産ほ乳類を終宿主とするアニサキスがイルカ胃に寄生すると、そこに大きな胃潰瘍をつくることは知られており、それとの鑑別はどうなのだろうか。
世界各地の水族館などでは、死亡した人気者イルカはこまめに補充しなければならない。
その殆どが 日本の和歌山県太地町の このコーヴ(入り江)から供給されているというのだ。
生きたイルカは普通1頭75〜150万円前後、売れ残ったイルカは子供もふくめて皆殺しにされ1頭6万円ほどで鯨肉として売られているというのだ。太地町の水族館はイルカショーでも人気があるらしいが、そこで同時にイルカの肉を売っているのはイルカ愛好家の視点からはブラックジョークそのものだ。
さらに太地町立クジラの博物館では漁師から75万円で購入した生きたバンドウイルカを中国の水族館へ一頭約520万円で売却したこともあるという。この世に、こんなおいしい商売があろうか。
世の中、いろんな立場の人がいると思うが、私は個人的にはイルカが殺されるのには嫌悪感をおぼえる類の人間に属しておりイルカ虐殺には反対だ。
イルカは知能も高く人間の友達みたいな、まさに癒し系の生き物だ。実際心が通じ合える生き物だとおもう。
北見市近郊の能取湖に住み着いているシロイルカに一度会ってみるとよい。これをコーヴ風に殺したり食べたりすることは私には出来ない。
友達を殺してその肉を食べるなど今現在の私には考えられない。一般的な家畜さんたちには大変申し訳ないがイルカは別格と言わざるを得ない。
いくら長年 ??? の伝統文化だ、食文化だといっても今や実際にはきびしい地域経済を担う重要な金儲けビジネスにすぎない格好になった太地町イルカ囲い込み漁。
コーヴを見たあと、心情的には太地町のイルカ漁は止めてほしいと強く思った。食料資源が限られたはるか昔と は異なり、今はそういう時代ではなかろうか。
現在、日本人の多くはイルカ肉を食べてはいないだろうし、クジラ肉の需要そのものが激減しつつあるという。イルカの町、太地町の人々からはこっぴどく叱られ、ののしられるかも知れないがそれは現実だ。
また、イルカ肉に含まれる総水銀 メチル水銀 PCB の実測値は 国の基準 ( 総水銀 0.4ppm メチル水銀 0.3 ppm PCB 0.5ppm )を遙かに超えており、少なくとも私は決して食べたくない数値が示されている。
ただ、一時期激減した愛らしいエゾシカを厳重に保護した結果、爆発的増加をもたらし、いまや北海道では自然破壊のかぎりをつくすようになった現実もある。今は必死にエゾシカを駆除しているがとても追いつかない。
近年ヒグマも似たような状況にあると思う。私をふくめ人間は常にダブル、トリプルスタンダードな生き物だ。イルカや鯨の保護も全面禁止となった場合、そういった側面がでてくる可能性もあり、日本の調査捕鯨といったスタンスは多少は現実問題として理にかなっているのかも知れない。
海の食物連鎖の頂点近くに位置するクジラたちが、エゾシカみたいに増えすぎた場合はどんなことになるのかは想像することすら恐ろしすぎる。
しかし、クジラのなかでも激減している種族のほか、イルカは多くの意味合いで別格だ。
かって知床半島ウトロ側海域にはおびただしい数のイルカの群れが棲んでいた。
この事実を知っている人は、もうあまりいないかも知れないが、半世紀以上昔、かって知床観光船でウトロから知床岬へむかうとおびただしい数のイルカの群が追ってくる人気の光景があった。私は子供心にその圧倒的光景に強い感動を覚えたのを思い出す。
あるとき、網走や斜里の港に次々とイルカが水揚げされトラックで運び去られるようになった。その数は急激に増えはじめ環境保護団体が調査に入った頃には知床半島ウトロ側海域のイルカの群れは壊滅、あっと言う間にこの世から永遠に消えてしまった。
青森方面からのイルカ漁船団の仕業であったと言われているが真相は今も謎だ。
コーヴを見て、一般的な(調査)捕鯨には特に反対ではない私は、恐らく一般の方々とは別な意味で、この映画にとても強い共感を覚えた。
それはイルカが好きで好きで好きでたまらない人々がいて、各地の人気水族館での、ある意味悲惨なイルカショーや太地町でのイルカ虐殺はなんとか止めさせたい。
しかしイルカショーで動く莫大なお金や、生きたイルカ販売、イルカ肉を鯨肉として販売して生計をたてる漁師たち、イルカにかかわるもろもろで成り立つ地域の存在、その他多くの理由で、どうしてもイルカたちを救うことができないでいる無念さ・むなしさがひしひしと伝わってくる。
それでもなんとかしたい、なんとしてでもイルカを救いたいと懸命に努力する姿だ。
いまだにニジマスを特定外来種に指定するなどとてもおぼつかず、稀少なオショロコマなどの生息可能水域にニジマスを放流することの禁止・啓蒙もおぼつかず、ニジマスの害に関してはひたすら見てみないふりをする行政や所謂学識経験者、マスコミ、釣り雑誌 など、それぞれの立ち位置による問題もあろうが、本当によく似ているとおもう。
私はニジマスによるオショロコマ被害について盛んにこのブロブで紹介してきた。
当初、ニジマスによってオショロコマがいなくなった渓流など実際にあるのだろうか? などと無知をさらけだすお馬鹿な釣り雑誌編集者までいたが、さすがに最近ではそんなお馬鹿はいなくなった気配を感じる。
現場をまったく知らない事に由来する無知とは怖いものだ。
その意味ではコーヴを撮影、この世に出したイルカ愛好家たちはさすがだとおもう。
ところで。
私は絶滅危惧種オショロコマの棲息水域心臓部に侵入した攻撃的外来魚ニジマスは徹底駆除する一方で、いまや完全なニジマス川になってしまった水域や、もはやニジマス駆除の意味がないような場所では、さりげなくニジマス愛好家に変身、大いにニジマス釣りを楽しみキャッチアンドリリースに徹しています。
映画コーヴに啓発され、イルカの過酷な境遇に深く感じ入る一方で、私は品川で見物したイルカショーに大感激、涙さえ流して拍手喝采をしてしまったことがあります。
孫たちにせがまれれば、イルカの過酷な境遇を説明してイルカショーに行くのを止めるというよりは、きっと二つ返事で快諾してしまいそうな気がします。多少、物事が理解できるようになれば実状を話してみたいとは思いますが。
人を傷つけたり殺してはいけないと教育されて育ちながら、戦争状態になれば出来るだけ沢山のヒトを殺すと誉められる。日本はたまたま、この70年ほどそれから遠ざかっていますが世界中では今も各地で広く合法殺人は行われてます。
条件付きのダブル、トリプル、さらにクワトロスタンダードなどで生きている、いまのところそれが人間の悲しい、または、かしこいサガなのでしょうか。
その後、ビハインド・ザ・コーヴ という記録映画が作られたことを知りました。
まだ見ていないので論評できませんが イルカ殺すな といった話を一般的な捕鯨容認か、捕鯨反対かという問題へとふくらませ焦点を大きくずらせたものでしょうか。
コーヴ は反捕鯨に利用されることが多いようですが、私が感じた範囲では単純にイルカ大好きな人間たちが イルカを殺すな と叫ぶ映画にしか見えませんでしたが。
ビハインド・ザ・コーヴ に対抗して ザ・コーヴ 2 の制作計画もあるそうです。
イルカ殺すなといった単純な話が 反捕鯨か、はたまた捕鯨容認かの戦い へと大きく利用され、ゆがめられて膨らんでゆきそうな気配です。
コーブ上映の後、これは反日啓蒙映画だ、上映したらただでは済まないぞと街宣車で騒ぐ団体、
おいらの国の古来の伝統、食文化に口をはさむなど余計なお世話だ、
それじゃあもっとスマートに残酷でない殺し方をすればいいんだろう、
隠し撮り映像を一方的な視点で編集して見せるなど卑怯すぎる、
やらせ映像もあるじゃあないか、
かって単に鯨油をとるためだけに世界中の国々がこぞってクジラ大虐殺をおこなったくせに、
etc... etc.........激しい反発を示す日本人の反応がとりわけ目立ったことがうかがえる。
しかし、いまだ捕鯨をしているごく少数の国を除けば、今のところは世界の潮流は明らかに反捕鯨に固まっている。
おそらくクジラ、少なくとも積極的なイルカ殺しを推奨する人は、日本人でもさほど多くはないと思うし、こんな状況を知ってしまえば、あえてクジラ肉を所望する少年少女は稀だと思う。
近い将来、クジラ肉を食べる食文化は、よほどの状況変化がないかぎり自然消滅してゆくと私は思う。
ところで。
今回、この記事を書くために私はネットサーフィンの限りを尽くして コーヴ関連 捕鯨問題などのにわか勉強をしたのですが、一つ気になったことがあります。
それは、水族館のイルカショーに出ているイルカたちの現状がそんなにも過酷なものなのか、本当にこの先自然界では平均35年も生きるイルカが水族館での飼育やショー出演の生活で 平均わずか7年 で死んでしまうという報告です。
現実にイルカショーは莫大なお金が動く、いまや日本のそれなりの水族館にはかかせないイベントですがその実態はどうなのでしょうか。
シャチやイルカを水族館のエンターテインメントに利用することの問題点を扱った Black fish 2013という映画が 公開され、その影響か米国ではこれらのショーをはじめ水族館でのシャチなどの海産ほ乳類の繁殖を禁止する動きがでたようですが最近はどうなのでしょうか。
近年、世界各地でイルカを水族館の狭い環境で飼育することそのものが残虐行為であるとして、イルカの飼育やショーの禁止が相次いでいるようです。
なかには今水族館で飼育中のシャチやイルカを海にもどそうとする動きもあるようですが、今更海に戻されても水族館での生活に慣れており野生の生活は難しいでしょう。
捕鯨問題に続いて日本のイルカショーについても世界の目がきびしくなるかもしれません。
イルカショーの写真はすべて 2018-8-18 に私が撮影したものです。
PS : 北見市近郊の能取湖に住み着いていた♀のシロイルカは 2020-6-4 船のスクリューで頭部に致命傷を受け死亡が確認されました。悲しい事故です。
最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の 渓流釣りバナー をワンクリックしていただければ幸いです。
にほんブログ村
にほんブログ村