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ウチダザリガニとニホンザリガニの取り扱いに関する1私見
北海道北見市内に生き残ったニホンザリガニを撮影。
ウチダザリガニ( Pacifastacus leniusculus trowbridgii )は米国オレゴン州コロンビア川より輸入された。
北海道では1930年に初めて摩周湖に食用や放流ニジマスのエサとして増やすことを目的に476匹が移植された。
これが増殖し、さらに主に人為的な放流で現在、道内各地の河川湖沼に大繁殖中である。
私が小学生のころ、北見市を訪問された昭和天皇が摩周湖のウチダザリガニを賞味され、おいしいと誉められたとの北海道新聞記事を子供心にはっきり記憶している。私も将来ウチダザリガニを食べてみたいと強く思ったことを思い出す。
ウチダザリガニは雑食性で生息水域の水産動植物ほとんどがエサになり攻撃的外来種として在来の生態系を破壊するとされる。
繁殖力も在来のニホンザリガニ( Cambaroides japonicus )より遙かに旺盛である。
ウチダザリガニ成体は15-20cmと大きいがニホンザリガニは成体で5-6cm程度である。ニホンザリガニの生息域にウチダザリガニが侵入した場合、ニホンザリガニにはまったく勝ち目はないだろう。
さらにウチダザリガニは水カビ菌に耐性がありこれを保有している。ヨーロッパでの例をみると、ウチダザリガニと一緒に入ってくる水カビ菌(ザリガニペスト)はニホンザリガニに感染すると致命的になる。
最近の釧路湿原でのニホンザリガニ大量死はこれが原因ではないかと囁かれているが真偽のほどはわからない。なぜなら摩周湖ではウチダザリガニでも大量死が観察されているからだ。
ところで環境省のレッドデータブックで絶滅危惧類の稀少種ニホンザリガニはあまりに激減したが故に、とうとう青森県では天然記念物になり、北海道各地でも激減の一途である。
ニホンザリガニが生息できる環境が道路工事、河川改修工事、農業地造成、宅地造成、伐採、ダム建設などの人間の営みそのものにより際限なく破壊されているのが最も大きな理由であろう。ウチダザリガニの分布拡大ばかりが声高に叫ばれる余り、開発行為がニホンザリガニ激減の最大の理由であるという事実の印象が相当に薄められているのは遺憾である。
北海道北見市とその近隣地域はいまでもニホンザリガニ生息地がかなり多いらしい。
私の住む北見市周辺の状況を見れば、ニホンザリガニの衰退は生息環境の破壊が唯一最大の原因であるが、さらにウチダザリガニが入ってくれば、ひとたまりもないだろう。
幸い北見市周辺のダム湖や池では大繁殖するウチダザリガニも一般的にはニホンザリガニの住む超特殊な環境( 流れる水がほとんど無いかごく僅かの流水,水がしみ出してくるような,しかし決して水が絶えることのない、石や砂礫の多い暗い沢など )にはなかなか入って行かないようだ。
琵琶湖に大繁殖し、すでに確固たる生態系を確立した攻撃的外来種ブルーギルの駆除はもはや不可能と判断し、発想を転換、これを食材として利用しようとする動きがあるという。
道内で大繁殖中のウチダザリガニはその生態系破壊の恐怖とは裏腹に食べてとてもおいしいため、実は立派に漁業権が設定され阿寒湖、塘路湖などで大量に捕獲され、高級食材として本州方面に販売されている。
従ってこの点ひとつをとってみても北海道からウチダザリガニを全て駆逐するなど不可能である。
ウチダザリガニの駆除のみを声高に叫ぶだけではニホンザリガニは守れない。
おそらく湖沼や河川などで、ウチダザリガニの侵淫をうけたニホンザリガニ生息地はもはや回復不可能であろう。
そんなことで時間を費やしているうちに肝心のニホンザリガニの棲息地そのものが開発行為などでどんどん潰されてゆく。
現在、ニホンザリガニが単独で生息している場所をできるだけ特定し、そこを断固保全することが現実的だ。
現実にニホンザリガニが棲息している環境は巨大なウチダザリガニの棲む環境とは全く異なると思う。
行政は、絶滅する前に北海道に生き残ったニホンザリガニ保全のための対策を急ぐべきだが、もはやこれは時間との戦いの段階に入っていると思う。
最後に一言付け加えると、かってオホーツクでは、ニホンザリガニはオショロコマよりは遙かにポピュラーな生き物であった。
将来オショロコマがニホンザリガニみたいな悲惨な状況にならないよう祈りたい。
ただ祈っていてもどうにもならないので、まずはオショロコマ生息域にニジマスを放すのは断固止めるよう訴えてゆきたい。
北見市内某公園内に残存するニホンザリガニ
小さなハサミで手のひらをチクーッとはさまれた。泣くほど痛かったが我慢しているとすぐ放してくれる。
北見市K地区に奇跡的に生き残ったニホンザリガニ。前述の個体群よりやや大きい。
抱卵しているニホンザリガニ♀。 ♀の抱卵数はウチダザリガニの方が圧倒的に多い。
ニホンザリガニ♂腹部。
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ウチダザリガニとニホンザリガニの取り扱いに関する1私見
北海道北見市内に生き残ったニホンザリガニを撮影。
ウチダザリガニ( Pacifastacus leniusculus trowbridgii )は米国オレゴン州コロンビア川より輸入された。
北海道では1930年に初めて摩周湖に食用や放流ニジマスのエサとして増やすことを目的に476匹が移植された。
これが増殖し、さらに主に人為的な放流で現在、道内各地の河川湖沼に大繁殖中である。
私が小学生のころ、北見市を訪問された昭和天皇が摩周湖のウチダザリガニを賞味され、おいしいと誉められたとの北海道新聞記事を子供心にはっきり記憶している。私も将来ウチダザリガニを食べてみたいと強く思ったことを思い出す。
ウチダザリガニは雑食性で生息水域の水産動植物ほとんどがエサになり攻撃的外来種として在来の生態系を破壊するとされる。
繁殖力も在来のニホンザリガニ( Cambaroides japonicus )より遙かに旺盛である。
ウチダザリガニ成体は15-20cmと大きいがニホンザリガニは成体で5-6cm程度である。ニホンザリガニの生息域にウチダザリガニが侵入した場合、ニホンザリガニにはまったく勝ち目はないだろう。
さらにウチダザリガニは水カビ菌に耐性がありこれを保有している。ヨーロッパでの例をみると、ウチダザリガニと一緒に入ってくる水カビ菌(ザリガニペスト)はニホンザリガニに感染すると致命的になる。
最近の釧路湿原でのニホンザリガニ大量死はこれが原因ではないかと囁かれているが真偽のほどはわからない。なぜなら摩周湖ではウチダザリガニでも大量死が観察されているからだ。
ところで環境省のレッドデータブックで絶滅危惧類の稀少種ニホンザリガニはあまりに激減したが故に、とうとう青森県では天然記念物になり、北海道各地でも激減の一途である。
ニホンザリガニが生息できる環境が道路工事、河川改修工事、農業地造成、宅地造成、伐採、ダム建設などの人間の営みそのものにより際限なく破壊されているのが最も大きな理由であろう。ウチダザリガニの分布拡大ばかりが声高に叫ばれる余り、開発行為がニホンザリガニ激減の最大の理由であるという事実の印象が相当に薄められているのは遺憾である。
北海道北見市とその近隣地域はいまでもニホンザリガニ生息地がかなり多いらしい。
私の住む北見市周辺の状況を見れば、ニホンザリガニの衰退は生息環境の破壊が唯一最大の原因であるが、さらにウチダザリガニが入ってくれば、ひとたまりもないだろう。
幸い北見市周辺のダム湖や池では大繁殖するウチダザリガニも一般的にはニホンザリガニの住む超特殊な環境( 流れる水がほとんど無いかごく僅かの流水,水がしみ出してくるような,しかし決して水が絶えることのない、石や砂礫の多い暗い沢など )にはなかなか入って行かないようだ。
琵琶湖に大繁殖し、すでに確固たる生態系を確立した攻撃的外来種ブルーギルの駆除はもはや不可能と判断し、発想を転換、これを食材として利用しようとする動きがあるという。
道内で大繁殖中のウチダザリガニはその生態系破壊の恐怖とは裏腹に食べてとてもおいしいため、実は立派に漁業権が設定され阿寒湖、塘路湖などで大量に捕獲され、高級食材として本州方面に販売されている。
従ってこの点ひとつをとってみても北海道からウチダザリガニを全て駆逐するなど不可能である。
ウチダザリガニの駆除のみを声高に叫ぶだけではニホンザリガニは守れない。
おそらく湖沼や河川などで、ウチダザリガニの侵淫をうけたニホンザリガニ生息地はもはや回復不可能であろう。
そんなことで時間を費やしているうちに肝心のニホンザリガニの棲息地そのものが開発行為などでどんどん潰されてゆく。
現在、ニホンザリガニが単独で生息している場所をできるだけ特定し、そこを断固保全することが現実的だ。
現実にニホンザリガニが棲息している環境は巨大なウチダザリガニの棲む環境とは全く異なると思う。
行政は、絶滅する前に北海道に生き残ったニホンザリガニ保全のための対策を急ぐべきだが、もはやこれは時間との戦いの段階に入っていると思う。
最後に一言付け加えると、かってオホーツクでは、ニホンザリガニはオショロコマよりは遙かにポピュラーな生き物であった。
将来オショロコマがニホンザリガニみたいな悲惨な状況にならないよう祈りたい。
ただ祈っていてもどうにもならないので、まずはオショロコマ生息域にニジマスを放すのは断固止めるよう訴えてゆきたい。
北見市内某公園内に残存するニホンザリガニ
小さなハサミで手のひらをチクーッとはさまれた。泣くほど痛かったが我慢しているとすぐ放してくれる。
北見市K地区に奇跡的に生き残ったニホンザリガニ。前述の個体群よりやや大きい。
抱卵しているニホンザリガニ♀。 ♀の抱卵数はウチダザリガニの方が圧倒的に多い。
ニホンザリガニ♂腹部。
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