本の装丁を見る前に、背のタイトルだけで買った本に、藤森益弘さんの「モンク」がある。勿論セロニアス・モンクのモンクであり、テレビドラマの「名探偵モンク」の本なら返品するところだった。京都ブルーノートをモチーフにしたジャズ小説で、ストーリー自体はそう変わったものではないが、ジャズ・バーの雰囲気やミュージシャンの心理が丁寧に描かれており、一気に読ませる秀作だった。
刊行と同時にCD「スンミ 市川芳枝・イン・ブルーノト」がリリースされた。タイトルだけでは恐らく買うこともなかったが、藤森さんの小説を読むと、つい聴きたくなるから不思議だ。「スンミ」は小説で主人公の女性ボーカリストによって歌われるオリジナル曲で、CDにも収録されている。関西でご活躍されている市川芳枝さんを初めて聴いた。素晴らしいボーカリストがいるもんだ。バックはご主人の市川修さんのスインギーなピアノに、正確なリズムを刻むベースの三原脩さん、そしてゲストの森山威男さんの怪物的なドラム。京都ブルーノートの熱いセッションが収められている。
以前、大橋巨泉さんのジャズ番組でゲストに「オール・オブ・ミー」を歌わせていた。スインギーに歌おうとするとフランク・シナトラになり、情感込めるとビリー・ホリデイになる。ボーカリストの力量を計るうえでは的を得た選曲だ。この簡単そうで難しい曲を、市川芳枝さんはオープニングで歌っている。これには参った。テンポといい、フレーズといい、市川修さんのバッキングといい申し分ない。この曲ばかりリピートして、次に進まなかったくらいだ。
そのスインギーなピアニスト市川修さんが31日に亡くなれた。くも膜下出血で突然の事らしい。まだ56歳という若さだった。奥様の芳枝さんの胸中は察するに余りある。セロニアス・モンクとバド・パウエルを愛し、今では数少ない二人に近い正統なスタイルのピアニストだっただけに残念だ。心よりご冥福をお祈りします。
刊行と同時にCD「スンミ 市川芳枝・イン・ブルーノト」がリリースされた。タイトルだけでは恐らく買うこともなかったが、藤森さんの小説を読むと、つい聴きたくなるから不思議だ。「スンミ」は小説で主人公の女性ボーカリストによって歌われるオリジナル曲で、CDにも収録されている。関西でご活躍されている市川芳枝さんを初めて聴いた。素晴らしいボーカリストがいるもんだ。バックはご主人の市川修さんのスインギーなピアノに、正確なリズムを刻むベースの三原脩さん、そしてゲストの森山威男さんの怪物的なドラム。京都ブルーノートの熱いセッションが収められている。
以前、大橋巨泉さんのジャズ番組でゲストに「オール・オブ・ミー」を歌わせていた。スインギーに歌おうとするとフランク・シナトラになり、情感込めるとビリー・ホリデイになる。ボーカリストの力量を計るうえでは的を得た選曲だ。この簡単そうで難しい曲を、市川芳枝さんはオープニングで歌っている。これには参った。テンポといい、フレーズといい、市川修さんのバッキングといい申し分ない。この曲ばかりリピートして、次に進まなかったくらいだ。
そのスインギーなピアニスト市川修さんが31日に亡くなれた。くも膜下出血で突然の事らしい。まだ56歳という若さだった。奥様の芳枝さんの胸中は察するに余りある。セロニアス・モンクとバド・パウエルを愛し、今では数少ない二人に近い正統なスタイルのピアニストだっただけに残念だ。心よりご冥福をお祈りします。