先週の読売新聞、時事川柳に鈴木十四茶さんの句が選ばれている。「豚肉もミンチになれば角が生え」食肉製造加工会社の牛肉偽装を詠んだもので、うまいことを言うものだ。次々に出る不正は呆れるばかりだが、北海道の会社だけに小生もまた知らず知らずのうちに食べていたことになる。食の安全が大きく問われる今、この報道を目にすると角も生えようというものだ。
角の生えた牛というと闘牛で、ロイ・ヘインズに同名のアルバムがあり、闘牛以上に怖いヘインズのイラストがコミカルに描かれている。ニューヨーク在住の中村照夫さんがプロデュースした73年の録音で、ケニー・バロンとリチャード・デイヴィスを加えたトリオ編成だ。「ティン・ティン・デオ」、「ディア・オールド・ストックホルム」等のスタンダード中心で、得意のハイ・ハット半開きもたっぷり堪能できる。ドラマーのリーダー・アルバムは闘牛を操るマタドールの如く華麗な千変万化のドラミングを楽しむことにあろう。
ヘインズは26年生まれで、10代にしてプロとしてスタートした時はスウィング時代である。スウィングからバップへ大きくジャズの流れが変わろうとしたとき、多くのプレイヤーは戸惑い、新しい感覚を否定さえするものまで現れた。そんな中いち早くバップの波に乗りチャーリー・パーカーと共演したのがヘインズだ。その後サラ・ヴォーンの伴奏コンボ、ジョン・コルトレーンとの共演等、活動は幅広く柔軟性に富んでおり、ヘインズは移り変わりの激しいジャズシーンで、いつも角ならぬ頭角を現していた。
件の食肉製造加工会社の社長は、肉の職人と呼ばれた人だそうだ。肉を熟知しているだけにその芸で消費者の舌を誤魔化すのは容易だったようが、どうやら食と職の誇りも失った人らしい。職人気質とは自分の技術を探求し、自信を持ち、金銭のために自分の意志を曲げない人をいう。ヘインズは伴奏のうまさに定評がある。職人芸を見習いたいものだ。
角の生えた牛というと闘牛で、ロイ・ヘインズに同名のアルバムがあり、闘牛以上に怖いヘインズのイラストがコミカルに描かれている。ニューヨーク在住の中村照夫さんがプロデュースした73年の録音で、ケニー・バロンとリチャード・デイヴィスを加えたトリオ編成だ。「ティン・ティン・デオ」、「ディア・オールド・ストックホルム」等のスタンダード中心で、得意のハイ・ハット半開きもたっぷり堪能できる。ドラマーのリーダー・アルバムは闘牛を操るマタドールの如く華麗な千変万化のドラミングを楽しむことにあろう。
ヘインズは26年生まれで、10代にしてプロとしてスタートした時はスウィング時代である。スウィングからバップへ大きくジャズの流れが変わろうとしたとき、多くのプレイヤーは戸惑い、新しい感覚を否定さえするものまで現れた。そんな中いち早くバップの波に乗りチャーリー・パーカーと共演したのがヘインズだ。その後サラ・ヴォーンの伴奏コンボ、ジョン・コルトレーンとの共演等、活動は幅広く柔軟性に富んでおり、ヘインズは移り変わりの激しいジャズシーンで、いつも角ならぬ頭角を現していた。
件の食肉製造加工会社の社長は、肉の職人と呼ばれた人だそうだ。肉を熟知しているだけにその芸で消費者の舌を誤魔化すのは容易だったようが、どうやら食と職の誇りも失った人らしい。職人気質とは自分の技術を探求し、自信を持ち、金銭のために自分の意志を曲げない人をいう。ヘインズは伴奏のうまさに定評がある。職人芸を見習いたいものだ。