デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

美人は得か、ジョニ・ジェイムスの場合

2007-09-02 08:14:40 | Weblog
 アメリカの心理学者ナンシー・エトコフの著書に「なぜ美人ばかりが得をするのか」という、美人批判論とも思える1冊がある。タイトルはキャッチーに過ぎず美男美女について心理学的、社会学的に分析しているから面白い。美人観は好み、美意識の相違により異なると思うが、総じて美人顔というのは目は大きすぎず小さすぎず、鼻高すぎず低すぎず、額は広すぎず狭すぎず、つまりは平均値パーツを集めると美人、或いは美男になるらしい。

 近寄りがたい凛とした例えばグレース・ケリーのような「美しい女性」、マリリン・モンローのような性的中枢を擽る「イイ女(オンナ)」、そして「綺麗な女(ヒト)」と小生なりに美人観があって、その「綺麗な女」はジョニ・ジェイムスである。「アフター・アワーズ」というピート・ジョリーやシェリー・マンをバックにしたジャズ寄りの作品もあるが、どちらかというとポピュラー歌手で、ジャズファンには馴染みが薄いかもしれない。甘くハスキーな声が男心を刺激して一度知ったら止められないフェロモンが漂う。

 写真のアルバムはジョニの初LP「When I Fall in Love」で、くっきりした二重まぶた、目、鼻、口、其々のパーツが平均値の見事な美人である。タイトル曲をはじめ「エンブレイサブル・ユー」、「ラブ・レター」等、ラブソングを集めたもので、ストリングス入りのデヴィッド・テリーの伴奏が甘い声を引き立てる仕掛けだ。「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ」が素晴らしく、「貴方への深い想いが私の心を歌わせる」と、甘ったるい声で歌われたら、ジャケット写真でやや分別を失いかけているのに完全に理性を忘れてしまうだろう。

 エトコフの実験結果によると、溺れたとき助ける、血液を提供する等の生死にかかわる場面でも美人が得だという。さてジョニの場合、美人で得をしたのだろうか。この初アルバムが予想以上に売れたので、以降10枚以上の作品を残すことになる。小生同様、ジャケットに惹かれて買った人が多いのかもしれない。やはり美人は得だ。
コメント (39)
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