うっかり携帯電話の充電を忘れ、会話途中で切れてしまった。車用充電器という気の利いたものはない、少しばかり急を要することなので公衆電話ボックスを探すことになる。この辺りにあるはずだと思ったがない、記憶違いでこの先かと車を走らせてもない。子どもでも携帯電話を持っている今では利用されることもなく、どうやら撤去されたようだ。尤もこのような事態でなければ小生とて必要としないのだから宣なるかなとも思う。
公衆電話ボックスいるデックスことデクスター・ゴードンの「デクスター・コーリング」は、ブルーノート2枚目のアルバムになり、前作はフレディ・ハバードとの2管であったが、こちらはワンホーンでデックスの縦横無尽のテナーがたっぷり楽しめる。ジャック・ゲルバーのドラッグを題材にしたミュージカル「ザ・コネクション」は、フレディ・レッドが音楽を担当し多くのジャズメンが出演して話題をまいた。その後のハリウッド版ではデックスが俳優を務め曲も書いていて、このアルバムではそれらの自作曲を披露している。麻薬癖の苦しみから解放された喜びが伸びやかな音にも、ジャケットの笑顔にも表れた快作だ。
コールマン・ホーキンス、レスター・ヤング、そしてソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、テナーサックスの系譜を見るとき太字で書かれる名前である。前者と後者の間に位置するデックスが巨人でありながらも扱いが小さいのは、麻薬癖と刑務所暮らしによる10年以上のブランクと、カリフォルニアを活動の拠点にし、ニューヨークのジャズシーンから遠ざかっていたことによるものと思う。ロリンズ、コルトレーン、そしてスタン・ゲッツにまで影響を与えたデックスの存在は計り知れない。巨人とは誰もがそうであるように、デックスがいなければテナーサックスの脈絡は大きく変わっていたであろう。
将来的には完全に廃止されるのではないかとの懸念もされている公衆電話ボックスで、デックスは誰に電話をかけているのだろうか。日本のステージでも酒を放さなかったデックスのことだ、このアルバムのメンバー、ケニー・ドリュー、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズとセッション前に一杯やろうぜ、と誘っているのかもしれない。
公衆電話ボックスいるデックスことデクスター・ゴードンの「デクスター・コーリング」は、ブルーノート2枚目のアルバムになり、前作はフレディ・ハバードとの2管であったが、こちらはワンホーンでデックスの縦横無尽のテナーがたっぷり楽しめる。ジャック・ゲルバーのドラッグを題材にしたミュージカル「ザ・コネクション」は、フレディ・レッドが音楽を担当し多くのジャズメンが出演して話題をまいた。その後のハリウッド版ではデックスが俳優を務め曲も書いていて、このアルバムではそれらの自作曲を披露している。麻薬癖の苦しみから解放された喜びが伸びやかな音にも、ジャケットの笑顔にも表れた快作だ。
コールマン・ホーキンス、レスター・ヤング、そしてソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、テナーサックスの系譜を見るとき太字で書かれる名前である。前者と後者の間に位置するデックスが巨人でありながらも扱いが小さいのは、麻薬癖と刑務所暮らしによる10年以上のブランクと、カリフォルニアを活動の拠点にし、ニューヨークのジャズシーンから遠ざかっていたことによるものと思う。ロリンズ、コルトレーン、そしてスタン・ゲッツにまで影響を与えたデックスの存在は計り知れない。巨人とは誰もがそうであるように、デックスがいなければテナーサックスの脈絡は大きく変わっていたであろう。
将来的には完全に廃止されるのではないかとの懸念もされている公衆電話ボックスで、デックスは誰に電話をかけているのだろうか。日本のステージでも酒を放さなかったデックスのことだ、このアルバムのメンバー、ケニー・ドリュー、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズとセッション前に一杯やろうぜ、と誘っているのかもしれない。