♪Grab your coat and get your hat・・・足取りも軽くなる耳慣れた「サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」がテレビから流れてくる。好きな曲となれば条件反射で画面に目が移り、♪To the sunny side of the street・・・と歌ってしまう。某ビールメーカーのCMで、普段愛飲の銘柄とは違うものの喉を鳴らして美味そうに飲む映像に釣られ、つい「もう1本」の声も出ようというものだ。テレビCMはトイレタイムとも呼ばれ、視聴率も落ちるといわれるが、この曲が好きな人には効果があるらしい。
暗い世相ほど明るい歌が流行るといわれるが、この曲もアメリカが不景気のどん底にあった30年に作られた歌である。大恐慌に沈むアメリカ国民に勇気と希望を与えたといわれるニューディール政策をルーズベルトが制定したのは33年だった。これからは陽の当たる側を歩いて行こう、という歌詞が経済政策に影響を及ぼしたとは考えられないが、少なくともこの歌で、1セントも持っていなくても、気分はロックフェラーになった人もいるだろう。経済模索する30年代のアメリカにせよ、首を挿げ替えただけの新内閣の日本にせよ、景気回復や雇用確保の新政策より1曲の歌が大きな希望を与えることもある。
ナンシー・ハーロウがこの曲を、「Wild Woman Don't Have The Blues」で歌っていた。社会問題を鋭く切り込んだミンガスやローチの作品で知られるキャンディド・レーベルの1枚で、ヴォーカル・アルバムは珍しい。レーベルを監修したナット・ヘントフの好みと思われるが、ハーロウはビリー・ホリデイを思わせる歌い方で白人系とは思えぬほどブルースがうまく、初リーダー作ながら堂々としたものだ。バック・クレイトン、バディ・テイト、ケニー・バレルとバック陣も豪華で、間奏ではたっぷりソロを取りハーロウの歌を盛り上げている。オープニングの「Take Me Back Baby」では、延々と各人の煌くソロが続きインスト・ナンバーかと思わせたところで、ハーロウが滑るように歌いだす。ヘントフの見事な仕掛けに騙されるのも悪くない。
♪To the sunny と、知っている歌が聞こえてくると一緒に歌いたくなるのは条件反射によるものだが、最近はこの曲を聴くと条件反射でビールを飲みたくなる。暑い日が続くが、「サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」は聴かないほうがいいようだ。特に昼間は・・・
暗い世相ほど明るい歌が流行るといわれるが、この曲もアメリカが不景気のどん底にあった30年に作られた歌である。大恐慌に沈むアメリカ国民に勇気と希望を与えたといわれるニューディール政策をルーズベルトが制定したのは33年だった。これからは陽の当たる側を歩いて行こう、という歌詞が経済政策に影響を及ぼしたとは考えられないが、少なくともこの歌で、1セントも持っていなくても、気分はロックフェラーになった人もいるだろう。経済模索する30年代のアメリカにせよ、首を挿げ替えただけの新内閣の日本にせよ、景気回復や雇用確保の新政策より1曲の歌が大きな希望を与えることもある。
ナンシー・ハーロウがこの曲を、「Wild Woman Don't Have The Blues」で歌っていた。社会問題を鋭く切り込んだミンガスやローチの作品で知られるキャンディド・レーベルの1枚で、ヴォーカル・アルバムは珍しい。レーベルを監修したナット・ヘントフの好みと思われるが、ハーロウはビリー・ホリデイを思わせる歌い方で白人系とは思えぬほどブルースがうまく、初リーダー作ながら堂々としたものだ。バック・クレイトン、バディ・テイト、ケニー・バレルとバック陣も豪華で、間奏ではたっぷりソロを取りハーロウの歌を盛り上げている。オープニングの「Take Me Back Baby」では、延々と各人の煌くソロが続きインスト・ナンバーかと思わせたところで、ハーロウが滑るように歌いだす。ヘントフの見事な仕掛けに騙されるのも悪くない。
♪To the sunny と、知っている歌が聞こえてくると一緒に歌いたくなるのは条件反射によるものだが、最近はこの曲を聴くと条件反射でビールを飲みたくなる。暑い日が続くが、「サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」は聴かないほうがいいようだ。特に昼間は・・・