「ブルースの真実」というアルバムを最初に聴いたのは45年も前のことだろうか。ジャズを聴き始めたころで何を聴いても感動したものだが、この作品は印象深い。ジャケットにはようやく名前を覚えたポール・チェンバース、エリック・ドルフィー、ビル・エバンス、ロイ・ヘインズ、そしてフレディ・ハバードと上から順にクレジットされている。ところが最上段にあるリーダーであろうプレイヤーの名前を知らないが聴いて驚いた。
何だこれは?そうか、ブルースとはこれか!と。美しいメロディなのにどこか妖しげで、都会的な空間でありながら泥臭い。強烈な「ストールン・モーメンツ」を書き、アルバム全体を統一されたトーンで染めたオリバー・ネルソンという名前を知った。リード奏者としては特徴がないが、作編曲者としては圧倒的な存在感を誇る人だ。特徴がないとはいえニュージャズ・レーベルでドルフィーと組んだ作品は、ファンキーという形を打破して新しいものを目指していたスタイルが聴き取れる。その新しいものとはジャズの永遠の命題であるブルースを様々な形で探求し、明確な音として表現することだったのだろう。
それを結実した形が「ブルースの真実」というアルバムであり、「ストールン・モーメンツ」こそブルースの真実を解く鍵なのだ。このブルース表現者としての資質を問われる曲をジョー・ロックが取り上げている。90年代にめきめき頭角を現してきたヴァイヴ奏者で、アルバム数も多いが、常にメンバーを入れ替えることで自らを鼓舞しているプレイヤーだ。この「セイリング」というアルバムは、ピアノのビリー・チャイルズを中心にしたトリオと組んだMJQと同じ編成なのだが、MJQのグループとしてのサウンド重視ではなくロックが前面に出ていてたっぷりブルージィなヴァイヴを堪能できる。
「Stolen Moments」を直訳すると「盗まれた時間」だが、時空を超越した最高に素晴らしい時間を指すらしい。ジャズを聴き始めたころは何を聴いても新鮮で、食費を削ってでも買ったレコードは宝であり、それを聴くのは最高に楽しい時間であった。ジャズに費やされたは厖大な時間は盗まれた時間かもしれないが、最も貴重な時間でもあるし、それは生涯変わらないだろう。今宵もジャズという至福の時間が流れる。
何だこれは?そうか、ブルースとはこれか!と。美しいメロディなのにどこか妖しげで、都会的な空間でありながら泥臭い。強烈な「ストールン・モーメンツ」を書き、アルバム全体を統一されたトーンで染めたオリバー・ネルソンという名前を知った。リード奏者としては特徴がないが、作編曲者としては圧倒的な存在感を誇る人だ。特徴がないとはいえニュージャズ・レーベルでドルフィーと組んだ作品は、ファンキーという形を打破して新しいものを目指していたスタイルが聴き取れる。その新しいものとはジャズの永遠の命題であるブルースを様々な形で探求し、明確な音として表現することだったのだろう。
それを結実した形が「ブルースの真実」というアルバムであり、「ストールン・モーメンツ」こそブルースの真実を解く鍵なのだ。このブルース表現者としての資質を問われる曲をジョー・ロックが取り上げている。90年代にめきめき頭角を現してきたヴァイヴ奏者で、アルバム数も多いが、常にメンバーを入れ替えることで自らを鼓舞しているプレイヤーだ。この「セイリング」というアルバムは、ピアノのビリー・チャイルズを中心にしたトリオと組んだMJQと同じ編成なのだが、MJQのグループとしてのサウンド重視ではなくロックが前面に出ていてたっぷりブルージィなヴァイヴを堪能できる。
「Stolen Moments」を直訳すると「盗まれた時間」だが、時空を超越した最高に素晴らしい時間を指すらしい。ジャズを聴き始めたころは何を聴いても新鮮で、食費を削ってでも買ったレコードは宝であり、それを聴くのは最高に楽しい時間であった。ジャズに費やされたは厖大な時間は盗まれた時間かもしれないが、最も貴重な時間でもあるし、それは生涯変わらないだろう。今宵もジャズという至福の時間が流れる。