「イン・ザ・ムード」に「ムーンライト・セレナーデ」、「ドント・ビー・ザット・ウェイ」に「シング・シング・シング」、「A列車で行こう」に「キャラヴァン」、それぞれグレン・ミラー、ベニー・グッドマン、エリントン楽団の代表曲で、学生や社会人ビッグバンドの必修曲でもある。長年ジャズを聴いている人にとっては聴き飽きた曲でも、普段ジャズを聴かない方にとっては新鮮であり、どこかで聴いたメロディという親しみ易さもある。発表の場が限られるアマチュア・バンドならではの選曲だ。
そしてベイシー楽団といえばアマチュア・ビッグバンドのバイブルとなっている「ベイシー・ストレート・アヘッド」、そして「リル・ダーリン」がある。ニール・ヘフティの作編曲によるもので、超スローバラードながら抜群にスウィングするという摩訶不思議な曲だ。ヘフティはミディアムテンポを想定していたそうだが、ベイシーはそれよりもかなり遅いテンポで演奏している。「間」とか「タメ」というヘフティの楽譜には書かれていない「音」をベイシーは聴き取り、それをビッグバンドというスウィングの宝箱で表現したものだ。ヘフティが10代のころ同居していたシェリー・マンは、当時でもその作曲技術に感嘆したといわれるが、ベイシーとのコンビで大きく開花した傑作といっていい。
ベイシー楽団が演奏することを前提に書かれた曲だが、間口が広いヘフティの曲だけありピアノトリオでもいける。楽しい曲は楽しいピアニストが楽しく演奏するのが一番で、この条件にピタリとはまるのはモンティ・アレキサンダーだ。ジャマイカ出身で、10代にしてピーターソンに後継者と指名され、シナトラも高く評価したピアニストである。挙げたアルバムは、「Saturday Night」のサブタイトルからもわかるように85年にオーランドのクラブ「バレンタインズ」でライブ・レコーディングされたものだ。モンティには76年のモントルー・ジャズフェスの人気ライブ盤があるが、ライブで本領を発揮するノリのいいピアノは楽しいの一言である。
昨年の暮れに札幌狸小路商店街の老舗楽器店が閉店セールをしていて、通りかかったとき、CDも置いてあることを思い出し寄ってみた。いつもこんなに賑わっていれば店を閉めることもないのに、という店主の溜め息が聞こえてきそうな混雑のなか、楽譜売り場に「Li'l Darlin'」の譜面を大事そうに抱えた女子高生がいる。「Little Darlin'」ならぬ「Little Girl」だったが輝く目は大きな夢を見ているようだった。
そしてベイシー楽団といえばアマチュア・ビッグバンドのバイブルとなっている「ベイシー・ストレート・アヘッド」、そして「リル・ダーリン」がある。ニール・ヘフティの作編曲によるもので、超スローバラードながら抜群にスウィングするという摩訶不思議な曲だ。ヘフティはミディアムテンポを想定していたそうだが、ベイシーはそれよりもかなり遅いテンポで演奏している。「間」とか「タメ」というヘフティの楽譜には書かれていない「音」をベイシーは聴き取り、それをビッグバンドというスウィングの宝箱で表現したものだ。ヘフティが10代のころ同居していたシェリー・マンは、当時でもその作曲技術に感嘆したといわれるが、ベイシーとのコンビで大きく開花した傑作といっていい。
ベイシー楽団が演奏することを前提に書かれた曲だが、間口が広いヘフティの曲だけありピアノトリオでもいける。楽しい曲は楽しいピアニストが楽しく演奏するのが一番で、この条件にピタリとはまるのはモンティ・アレキサンダーだ。ジャマイカ出身で、10代にしてピーターソンに後継者と指名され、シナトラも高く評価したピアニストである。挙げたアルバムは、「Saturday Night」のサブタイトルからもわかるように85年にオーランドのクラブ「バレンタインズ」でライブ・レコーディングされたものだ。モンティには76年のモントルー・ジャズフェスの人気ライブ盤があるが、ライブで本領を発揮するノリのいいピアノは楽しいの一言である。
昨年の暮れに札幌狸小路商店街の老舗楽器店が閉店セールをしていて、通りかかったとき、CDも置いてあることを思い出し寄ってみた。いつもこんなに賑わっていれば店を閉めることもないのに、という店主の溜め息が聞こえてきそうな混雑のなか、楽譜売り場に「Li'l Darlin'」の譜面を大事そうに抱えた女子高生がいる。「Little Darlin'」ならぬ「Little Girl」だったが輝く目は大きな夢を見ているようだった。