デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ビバリー・シスターズがサンタにキッスした

2013-12-22 09:42:34 | Weblog
 師走といって生活習慣にさほど変化はないが、忘年会の時期ということもあり何かと出かける機会が多い。ジャズクラブは別として居酒屋やバー等、行く先々でかかっているのはクリスマスソングだ。ソースは有線放送で、一体クリスマスソングと呼ばれるのは何曲あって、どれほどのヴァージョンがあるのかと感心するほどヴァラエティーに富んでいる。いつもはジャズが低い音量で流れているバーもやはりこれだった。

 水割りのグラスが空くころ、「ママがサンタにキッスした」がかかる。これが聴き惚れてしまうほどの美しい女性コーラスで、マスターにヴォリュームを上げていただいた。同じ声質なので姉妹グループと思われるが誰なのか思い出せない。聴き覚えのあるコーラスからレコードで聴いているボスウェルやアンドリュース、キング、クラークというシスターズを挙げてみたが違うような気がする。こういうとき便利なのはその場で調べられるスマートフォンだ。曲名検索をかけてみるとオリジナルは1952年のジミー・ボイドで、カバーはザ・ロネッツ、ジャクソン・ファイブ、弘田三枝子、天地真理 ・・・

 そして、あった、あった、これだ。ビバリー・シスターズだ。イギリスのコーラス・グループで、タイトルこそ失念したがジャケットに惹かれて買ったアルバムは覚えている。長女のジョイがリードボーカルを担当し、双子の妹バブスとテディがハーモーニーを重ねるという編成だ。このリードとハーモーニーのからみが実に美しい。「The Enchanting Beverley Sisters」は1960年にリリースされた作品で、「フォー・ユー」や「ワンス・イン・ア・ホワイル」、「ニアネス・オブ・ユー」といった派手さこそないものの味わい深いメロディを選曲している。なかでも「コテージ・フォー・セール」は声の美しさゆえトーチソングであることを忘れる。

 「ママがサンタにキッスした」は「Wikipedia」とクリスマスソングを紹介しているサイトに掲載されていたが、どちらともカバーの筆頭にあるのはスパイク・ジョーンズだった。冗談音楽の王様として知られている人で、フランキー堺やハナ肇もバンドを結成するときに参考にしたといわれている。「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」で録音した他に、「I Saw Mommy Screwing Santa Claus」というふざけたパロディも残しているそうだ。聴いたことはないが師走の街のような喧騒なのだろう。

コメント (6)
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