デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

「美人は三日で飽きる」か?

2015-07-19 09:10:58 | Weblog
 ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の挿入歌に「I've Grown Accustomed to Her Face」がある。原題よりも「あの娘の顔に慣れてきた」という邦題で馴染んでいる曲かもしれない。このタイトルを見たとき、真っ先に浮かんだのは、「ブスは三日で慣れる」という言葉だ。国は違えど似たような価値観を表す格言や諺があるので、これもそのようなニュアンスに聞えるが、歌詞の内容からいうと誤解を招くタイトルだ。

 自動翻訳機にかけると、「私は、彼女の顔に慣れているようになりました」という機械らしい答えが出てくるので邦題も間違いではないが、「君の顔が忘れられなくて」という言い回しの方が内容に沿っている。歌詞は別稿に譲るとして、このミュージカルでは「Get Me To The Church On Time」や「I Could Have Danced All Night」、「On the Street Where You Live」が有名でこのナンバーは陰に隠れた存在だがメロディは滅法美しい。アドリブの素材としても面白いようで名演が並んでいる。ウエス・モンゴメリーにシェリー・マン、オスカー・ピーターソン、チェット・ベイカー・・・

 そして、流麗なメロディを透き通るような音色で表現しているのはポール・デスモンドである。デスモンドのリーダー作といえばRCA時代は10枚にも満たないが、そのほとんどで共演しているのがジム・ホールだ。アルトとギターのコラボレーションの鑑ともいえる演奏を残している。この「Easy Living」というアルバムはタイトル曲をはじめ「That Old Feeling」、「Bewitched」というスタンダード中心の選曲になっているが、とりわけこのトラックが素晴らしいのは大ファンであるオードリー・ヘップバーン、即ち「My Fair Lady」を想いながら演奏したからであろう。

 「ブスは三日で慣れる」に対を成す言葉に「美人は三日で飽きる」がある。恋愛や結婚観を述べた言葉だが、性格が悪いとか内面に問題があるということを抜きにして容姿だけをとるなら美人は三日で飽きるとは思えないし、たとえ飽きたとしてもすれ違う男性が連れの女性を振り返り、羨望と嫉妬の眼差しで見られるなら満更でもない。残念ながら経験はないが・・・
コメント (6)
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