デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

荒野の七人でガンさばきを覚えた

2017-02-05 09:25:21 | Weblog
 「荒野の七人」というタイトルを見るだけで今もワクワクする。最初に観たのは封切間もない小学4年生のときだ。モーリン・オハラが好きだった父に連れられてよく映画館に行った。おやつを食べ終わると眠くなりストーリーは怪しいが、ユル・ブリンナーの左手でハンマーを起こして連射するファニングショットや、スティーブ・マックイーンの早撃ちは目に焼き付いている。

 その後テレビで放映されたときに「The Magnificent Seven」という原題を知った。「Magnificent」といえば鳩のサド・ジョーンズにプレスティッジ盤のバリー・ハリス、70年代後半に復活したプログレッシヴ・レーベルのトミー・フラナガン・・・まだあるのだろうが思い出せないので飛ばして本題のカーティス・フラーにいこう。好きなレコードなので既に話題にしていそうなものだが、おおよそ9年前にbassclef さんが「夢見るレコード」で取り上げていたので見送った経緯がある。「フラーが見た5分間の夢」という素晴らしいタイトルでメトロノームのカウントを例に挙げて分析されていた。

 深く夢を探りたい方はそちらをご覧いただくとして、これから聴こうとする方のために簡単に触れておこう。Dream・・・ジョニー・マーサーが1944年に書いた曲でパイド・パイパーズのコーラスで大ヒットしている。タイトル通り夢見るようなうっとりするバラードだ。それをフラーはレコードプレイヤーの回転数を間違って16回転にセットしたかと思うほどの遅いテンポで演奏している。競走馬の如く速く吹くのもテクニックがいるが、牛の歩みのようなテンポで吹くのも容易ではない。終わったとき体には白昼夢から目覚めた脱力感が残り、脳は夢を一つ叶えた満足感が走る。

 今、原題そのままのタイトルの「マグニフィセント・セブン」が公開されている。72年の「荒野の七人・真昼の決闘」以来のリメイク版だ。現代版らしくガトリング銃で派手にぶっ放すバトルシーンもあるが西部劇の伝統を受け継いでいるし、個性的なメンバーによる人間ドラマとしての側面は本家の「七人の侍」譲りだ。エンディングに「荒野の七人」のテーマソングが流れた。高揚するメロディーだ。映画館を出て父より先を歩いた小学4年生に戻った。
コメント (8)
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