以前、「騒ぐ女ヘイゼル・スコット」のタイトルで女流ピアニストを話題にした。どれほど賑やかなのかは拙稿をご覧いただきたい。今週は彼女の上をいくドロシー・ドネガンだ。唸り声は勿論のこと、ピアノを弾きながら不敵な笑みを浮かべるわ、足はバタバタやるわ、踊るわのアクション系だ。日本にも派手なパフォーマンスをみせる人気ピアニストがいるようだが、そのスタイルの元祖と言っていい。
エヴァンスのリリシズムやパウエルの閃き、モンクの間こそがジャズピアノの王道であり、わざとらしい奇声を上げたり、軟体動物のようにくねくね動くのはジャズにあらずという風潮が強い日本ではこの手のスタイルは歓迎されない。また、レコード時代に国内盤が出たこともなければ、ビッグネイムとの共演もないので知名度は低い。ところがエンターテイメント性が重要視されるアメリカでは絶賛されているのだ。日本で話題を呼んだのはビル・クリントン大統領が、ドロシーをホワイトハウスに招いたことが伝わった時だ。さすがにペンシルバニア通り1600番地ではマンハッタン52丁目ほど暴れないものの、奇抜であることに変わりない。
本国の評価を裏付けるように多くの作品がリリースされている。1枚挙げろと言われれば57年の「At The Embers」だ。オスカー・ペティフォードのクレジットもあるトリオで、選曲がいい。「That Old Black Magic」に始まり「Over The Rainbow」、「Sweet Georgia Brown」、「My Funny Valentine」、「Autumn Leaves」、「Lullaby Of Birdland」等、誰もが知っている曲を喜怒哀楽豊かに弾いている。全体にアップテンポで音数も多いが、エロール・ガーナーを思わせるタッチで、バラードもなかなかに聴かせる。パフォーマンスも面白いが、ピアニストとして音だけ聴いても理屈抜きで楽しい。それもジャズなのである。
このアルバムを選んだのは内容は勿論だがジャケットにある。写真は今年1月20日に亡くなったチャック・スチュワートによるものだ。コルトレーンやドルフィーのジャケットで有名な写真家である。バーカウンターの止まり木にはドラマがある。揃えた靴と脱ぎ捨てた靴。口説く男。そういえば精神分析学者のジークムント・フロイトは靴は女性器の象徴としている。靴を脱ぐという行為は・・・
エヴァンスのリリシズムやパウエルの閃き、モンクの間こそがジャズピアノの王道であり、わざとらしい奇声を上げたり、軟体動物のようにくねくね動くのはジャズにあらずという風潮が強い日本ではこの手のスタイルは歓迎されない。また、レコード時代に国内盤が出たこともなければ、ビッグネイムとの共演もないので知名度は低い。ところがエンターテイメント性が重要視されるアメリカでは絶賛されているのだ。日本で話題を呼んだのはビル・クリントン大統領が、ドロシーをホワイトハウスに招いたことが伝わった時だ。さすがにペンシルバニア通り1600番地ではマンハッタン52丁目ほど暴れないものの、奇抜であることに変わりない。
本国の評価を裏付けるように多くの作品がリリースされている。1枚挙げろと言われれば57年の「At The Embers」だ。オスカー・ペティフォードのクレジットもあるトリオで、選曲がいい。「That Old Black Magic」に始まり「Over The Rainbow」、「Sweet Georgia Brown」、「My Funny Valentine」、「Autumn Leaves」、「Lullaby Of Birdland」等、誰もが知っている曲を喜怒哀楽豊かに弾いている。全体にアップテンポで音数も多いが、エロール・ガーナーを思わせるタッチで、バラードもなかなかに聴かせる。パフォーマンスも面白いが、ピアニストとして音だけ聴いても理屈抜きで楽しい。それもジャズなのである。
このアルバムを選んだのは内容は勿論だがジャケットにある。写真は今年1月20日に亡くなったチャック・スチュワートによるものだ。コルトレーンやドルフィーのジャケットで有名な写真家である。バーカウンターの止まり木にはドラマがある。揃えた靴と脱ぎ捨てた靴。口説く男。そういえば精神分析学者のジークムント・フロイトは靴は女性器の象徴としている。靴を脱ぐという行為は・・・