昭和22年に創刊されたSJ誌で読者人気投票が始まったのは昭和26年のことだ。女性ボーカルを見てみると26、27年の上位は同じで、1位ナンシー梅木、2位加藤礼子、3位水島早苗と並ぶ。翌28年のトップもナンシー梅木が譲らないが、2位に選ばれたのは今月12日に亡くなったペギー葉山だ。当時、トップバンドの渡辺弘とスター・ダスターズの専属シンガーとして活躍していた。
レコードデビューは昭和27年で、シャンソン王子と呼ばれたアンドレ・クラヴォーのヒット曲「ドミノ」のカバーである。B面は「Kiss of Fire」で、「火の接吻」という昭和の邦題が付けられていた。SP盤だがこれらの音源はCDで聴ける。当時若干19歳ながら声に伸びがあるし、カバー曲と感じさせない表現力、そして何よりもジャズフィーリングが豊かだ。「ペギー葉山」というのは芸名でなく本名で、アメリカ人の血を引いているのではないかと思ったほどだ。そのセンスの良さが民謡調の「南国土佐を後にして」や溌溂とした青春歌謡「学生時代」、楽しい「ドレミの歌」の大ヒットにつながったといっていい。
「It's Been A Long Long Time」はデビュー40周年記念アルバムで、矍鑠としたハンク・ジョーンズと並んだペギーの立ち姿が美しい。日本のレスター・ヤングといわれた尾田悟と、ベニー・グッドマンの後継者と呼ばれるケン・ペプロウスキーが参加しているのでグッと厚みが出る。ビッグバンドよりもこの編成の方がノスタルジック感が醸し出されてペギーの声とのバランスがいい。タイトル曲をはじめ「Love Letters」、「All of Me」、「As Time Goes By」、「I'm Beginning To See The Light」というステージで何度も歌ってきたであろう曲はスタンダードというより持ち歌に聴こえる。深みを増した声と磨かれたフレージング、スウィング感、40年のキャリアが詰まっている。
2014年に「大人の歌ネット」のインタビューで、「今の夢」を聞かれて、「これは、叶えられないとは思いますけど、外国の人とデュエットしたいの。以前、今は亡きハンク・ジョーンズとはね、ジャズのアルバムを出したけれど、向こうの歌い手さんとね…、トニー・ベネットさんなんていいわね(笑)。これは夢よ、そんなことあり得ないんだけど、トニーさんが日本に来た時に、一緒にレコーディングできたらいいなぁってね 」と。夢のデュエットを聴きたかった。享年83歳。合掌。
敬称略
レコードデビューは昭和27年で、シャンソン王子と呼ばれたアンドレ・クラヴォーのヒット曲「ドミノ」のカバーである。B面は「Kiss of Fire」で、「火の接吻」という昭和の邦題が付けられていた。SP盤だがこれらの音源はCDで聴ける。当時若干19歳ながら声に伸びがあるし、カバー曲と感じさせない表現力、そして何よりもジャズフィーリングが豊かだ。「ペギー葉山」というのは芸名でなく本名で、アメリカ人の血を引いているのではないかと思ったほどだ。そのセンスの良さが民謡調の「南国土佐を後にして」や溌溂とした青春歌謡「学生時代」、楽しい「ドレミの歌」の大ヒットにつながったといっていい。
「It's Been A Long Long Time」はデビュー40周年記念アルバムで、矍鑠としたハンク・ジョーンズと並んだペギーの立ち姿が美しい。日本のレスター・ヤングといわれた尾田悟と、ベニー・グッドマンの後継者と呼ばれるケン・ペプロウスキーが参加しているのでグッと厚みが出る。ビッグバンドよりもこの編成の方がノスタルジック感が醸し出されてペギーの声とのバランスがいい。タイトル曲をはじめ「Love Letters」、「All of Me」、「As Time Goes By」、「I'm Beginning To See The Light」というステージで何度も歌ってきたであろう曲はスタンダードというより持ち歌に聴こえる。深みを増した声と磨かれたフレージング、スウィング感、40年のキャリアが詰まっている。
2014年に「大人の歌ネット」のインタビューで、「今の夢」を聞かれて、「これは、叶えられないとは思いますけど、外国の人とデュエットしたいの。以前、今は亡きハンク・ジョーンズとはね、ジャズのアルバムを出したけれど、向こうの歌い手さんとね…、トニー・ベネットさんなんていいわね(笑)。これは夢よ、そんなことあり得ないんだけど、トニーさんが日本に来た時に、一緒にレコーディングできたらいいなぁってね 」と。夢のデュエットを聴きたかった。享年83歳。合掌。
敬称略