デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

セ・パ両リーグ開幕、負けるなマッケンナ、ハミルトン、ハナ

2017-04-02 09:35:44 | Weblog
 プロ野球ファンが待ちに待った開幕だ。我が贔屓のファイターズは昨年、日本シリーズを制しているので今年は球団初となる連覇が期待される。31日の開幕戦、そして昨日の第2戦とも札幌ドームは満席だった。初戦は落としたものの、昨日はいい勝ち方をしている。栗山監督は、「昨年と同じことをやっていたら連覇なんて無理。進まないといけない」と語っていたが、勝ちにこだわる采配が楽しみだ。

 この時期は野球に因んだ曲やジャケットを話題にするのが恒例で、今年は「No Bass Hit」を選んだ。ガレスピーの「One Bass Hit」やジョン・ルイスの「Two Bass Hit」にヒントを得ているが、これは曲名ではない。メンバーはボールにサインのあるデイヴ・マッケンナとスコット・ハミルトン、ジェイク・ハナの3人である。ジャズファンはそれぞれの楽器を知っているのでピーンとくるが、野球ファンのために説明しておこう。「Bass」は「Base」にかけたもので、このアルバムはベース奏者がいないことからこのタイトルになっている。大先輩の曲にあやかった粋なネーミングである。

 プレイボールは直球ど真ん中勝負の「But Not For Me」だ。スタンダードの玉手箱ともいうべきミュージカル「Girl Crazy」の曲で、他にも「I Got Rhythm」や「Embraceable You」も同ミュージカルで発表されている。1930年当時のガーシュウイン兄弟は泉の如くアイデアが湧き出てきたのだろう。マッケンナの一音に促されるようにゆったりとしたテンポでハミルトンがメロディーを乗せ、倍にテンポを変えるタイミングでハナのブラシが重なる。コンコード・レーベルというと寛ぎの演奏というイメージがあるが、このテーマは緊張感があるし、徐々に熱を帯びてくるアドリブはジャズの王道を行くものである。内容はホームランと言っていい。

 オリジナル・スコアには「悲観的に、やや遅く」とジョージの指示があるように、この曲はタイトルの如くいじけた歌ではあるが、ヴァースに「Dreams come true!」という前向きな歌詞がある。栗山監督の座右の銘は「夢は正夢」だ。ファンの熱い声援がなければ優勝を呼び込むことはできないし、夢が叶うこともない。週末は野球を観ることとジャズを聴く以外、何もしないシーズンが始まった。
コメント (8)
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