デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

戊戌のSomething Else

2018-01-14 09:30:17 | Weblog
 子牛寅・・・自分の干支はわかるものの十二支となるとスラスラ出てこない。年賀状の印刷見本やいただいた年賀で今年は戌年と知る。干支は10種類の「干」と、12種類の「支」が組み合わされたもので、その組み合わせは60種類あるそうだ。正確に言うと今年は60年に一回の戊戌(つちのえいぬ)になる。干支は年月日や時間、方位を表しているもので、60歳を還暦というのは干支の60種類が一回りしたことを意味するという。

 この前振りなら本題は犬のジャケットしかないが、どのアルバムが浮かぶだろう。まずデッカの動物ジャケットからメロフォーン奏者ドン・エリオットの「The Mello Sound」。このレコードを買う人は犬好きか、ビル・エヴァンスのコレクターだ。ブルーノート盤のエルモ・ホープ・クインテットVol.2もある。全曲オリジナルで臨んだ意欲作で、ジャケットにヴァン・ゲルダーの愛犬が写っている。同レーベルにはジミー・スミスの「Back At The Chicken Shack」もあった。ディズニー映画「101匹わんちゃん」や、グレゴリーのだまし絵に出てくるダルメシアンが行儀よく座っている。

 比較的新しいものからデンマークの歌姫、カトリーヌ・レガーの「Gorgeous Creature」を選んだ。映画のワンシーンを切り取ったような物語のあるジャケットである。2007年の録音でバックはギター、ピアノ、ベースという編成だ。このドラムレスがカトリーヌのややスモーキーな声を際立たせているし、時がゆっくり過ぎる北欧の空気感を醸し出している。どの曲も工夫があるが、特にいいのは「My Ideal」で、ギターのイントロからヴァース抜きでやんわりとコーラスに入るあたりは十八番にしているマーガレット・ホワイティングを手本にしているようで微笑ましい。

 60年前の戊戌、1958年はどんなことがあったのだろう。昭和でいうと33年で東京タワーが完成し、ロカビリーがブームだった。オーネット・コールマンが「Something Else!!! 」を引っ提げてデビューしている。名盤に数えられるキャノンボール・アダレイの「Somethin' Else」もこの年だ。アルバムタイトルの如く60年ぶりの戊戌は何かが起こる素晴らしい年になるかも知れない。
コメント (6)
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