紀伊国屋で、「苦労したのよ」おばさんに逢ったせいか、予定外の『二・二六事件とその時代ー昭和期日本の構造』(筒井清忠 ちくま学芸文庫)を買ってしまった。1300円はちょっと痛い。歴史社会学の手法から日本の教養を論じていた著者が、二・二六事件の磯部や安藤たちの革命の「苦労」、革命の背景となったといわれる東北農村の「苦労」、革命の「玉」と目された昭和天皇の「苦労」をどう整理して、昭和の心理構造を分析するのか楽しみ。
『けんかえれじい』(鈴木隆 岩波現代文庫 上下各1000円)は、鈴木清順監督の同名傑作映画の原作。かねてから読みたかったお目当て。予断だが、けんか道を邁進して戦争にまで至る主人公の麒六は二・二六将校にも擬せられるだろう。饒舌だが多言を費やさぬ改行のリズムと、潔い「だ」「である」文末が俺向き。
『けんかえれじい』(鈴木隆 岩波現代文庫 上下各1000円)は、鈴木清順監督の同名傑作映画の原作。かねてから読みたかったお目当て。予断だが、けんか道を邁進して戦争にまで至る主人公の麒六は二・二六将校にも擬せられるだろう。饒舌だが多言を費やさぬ改行のリズムと、潔い「だ」「である」文末が俺向き。