http://www.news.janjan.jp/culture/0609/0609240680/1.php
この映画のおかげでタンザニア・ビクトリア湖産のナイルパーチの不買運動がヨーロッパで起きたそうだ。
肉食魚ナイルパーチが放流されたおかげで、湖の藻を食べる草食魚が激減した上に、藻の異常繁殖による富栄養化によって湖が汚染され、ビクトリア湖の漁業が大打撃を受けている。そのため漁民たちは窮乏に陥り、村や家族は離散し、湖の周辺は売春婦と家なき子が溢れた。エイズが蔓延し、子どもたちは魚の梱包材を燃やして発生する有毒ガスを吸って、麻薬代わりにしている。
こうした構造的悲惨に止めを刺すのは、ヨーロッパや日本に白身魚として輸出されるナイルパーチを運ぶためにビクトリア湖畔のムアンザ空港に向かう貨物機は、ヨーロッパからアフリカの紛争各国に輸出される武器・弾薬を運んでいるという衝撃的な事実だ。アフリカに武器弾薬を売りつけ、空になった格納庫に白身魚を積んで帰るわけだ。
ダーウィンが注目したほどの豊かな生態系を破壊し、その資源に依存していた漁業の村と漁師を見捨てた代わりに、水産加工場など30万人の雇用と莫大な外貨をタンザニアは得ている。このドキュメンタリ映画の重大な欠落は、ビクトリア湖のナイルパーチ産業化を推進してきたそのタンザニア政府や欧日企業の言い分をまったくといってよいほど取り上げなかった点だ。
それはフェアではないというより、タンザニア人たちの残酷な運命が構造的にもたらされたことに切り込む機会を失うことになった。アフリカに武器弾薬を運び入れ、資源を運び出すヨーロッパの貨物輸送機は、ヨーロッパのアフリカに対する残酷な収奪の象徴な事実ではあっても、この「ダーウィンの悪夢」の構造に直接結びつくものではないはずだ。
ビクトリア湖の水産業の近代化を促進した側から、グローバリズムの恩恵を語る者がいなければ、悪夢の成り立ちはわからない。悲惨なタンザニア人たちをいくら見せつけられても、なぜ彼らがそうなったかを知ることはできない。彼らは告発すらできず、代わりにヨーロッパの消費者が不買運動の旗を振って反対している。そら怖ろしくかけ離れている彼我。それがもっとも残酷だと思う。
この映画のおかげでタンザニア・ビクトリア湖産のナイルパーチの不買運動がヨーロッパで起きたそうだ。
肉食魚ナイルパーチが放流されたおかげで、湖の藻を食べる草食魚が激減した上に、藻の異常繁殖による富栄養化によって湖が汚染され、ビクトリア湖の漁業が大打撃を受けている。そのため漁民たちは窮乏に陥り、村や家族は離散し、湖の周辺は売春婦と家なき子が溢れた。エイズが蔓延し、子どもたちは魚の梱包材を燃やして発生する有毒ガスを吸って、麻薬代わりにしている。
こうした構造的悲惨に止めを刺すのは、ヨーロッパや日本に白身魚として輸出されるナイルパーチを運ぶためにビクトリア湖畔のムアンザ空港に向かう貨物機は、ヨーロッパからアフリカの紛争各国に輸出される武器・弾薬を運んでいるという衝撃的な事実だ。アフリカに武器弾薬を売りつけ、空になった格納庫に白身魚を積んで帰るわけだ。
ダーウィンが注目したほどの豊かな生態系を破壊し、その資源に依存していた漁業の村と漁師を見捨てた代わりに、水産加工場など30万人の雇用と莫大な外貨をタンザニアは得ている。このドキュメンタリ映画の重大な欠落は、ビクトリア湖のナイルパーチ産業化を推進してきたそのタンザニア政府や欧日企業の言い分をまったくといってよいほど取り上げなかった点だ。
それはフェアではないというより、タンザニア人たちの残酷な運命が構造的にもたらされたことに切り込む機会を失うことになった。アフリカに武器弾薬を運び入れ、資源を運び出すヨーロッパの貨物輸送機は、ヨーロッパのアフリカに対する残酷な収奪の象徴な事実ではあっても、この「ダーウィンの悪夢」の構造に直接結びつくものではないはずだ。
ビクトリア湖の水産業の近代化を促進した側から、グローバリズムの恩恵を語る者がいなければ、悪夢の成り立ちはわからない。悲惨なタンザニア人たちをいくら見せつけられても、なぜ彼らがそうなったかを知ることはできない。彼らは告発すらできず、代わりにヨーロッパの消費者が不買運動の旗を振って反対している。そら怖ろしくかけ離れている彼我。それがもっとも残酷だと思う。