僕らのミライへ逆回転
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1週間レンタルなので、しばらく観るのは先送りしてキープ。TUTAYAがガリバーになる以前、DVDではなくビデオテープをレンタルしていた頃、貸す方も借りる方も貧乏人ばかりの小さなビデオレンタル店が町のあちこちにあった。そんな店が舞台らしい。電磁波の影響で、在庫のビデオをおシャカにしていまい、窮余の策として、客が借りたいビデオ映画を自主制作するという話らしい。あの「ロボコップ」や「ゴーストバスターズ」がチープに甦って、意外や大人気というドタバタコメディらしい。
「昔は」と眼を細めたいくらいに以前、町のあちこちにあった小さなビデオレンタル店は、もっと昔に町のあちこちにあったタバコ屋と同じように、町の人たちが通うほんのちょっとした触れあいの場所だった。そういえば、ビデオレンタル店のオヤジやアンチャンは煙草を吸う人が多かった。「店長」と呼ばれていたけど、店員はアルバイトが二人くらい、事業という規模でもなく、起業というほど野心もなく、はるかに昔にあった貸本屋のように、安易にはじめたテキトーな商売に思えた。
「店長! 18歳になったよ」と駆け込んできて、アダルトコーナーに直行した学生服に、「おいおい、18歳未満お断りってのは・・・。ま、いいか」と客と顔を見合わせて苦笑いする光景もあった。昔のタバコ屋や貸本屋より暇な店主や店長を目当てに、無駄話に来る常連の姿もよくあった。「僕らのミライへ逆回転」の舞台となるレンタルビデオ店は、映画を借りる客がほとんどのようだが、日本の町のあちこちにあったビデオレンタル店の客のかなりの割合はアダルトビデオのファンのはずだったから、ちょっと隠微な雰囲気もあった。このちょっと恥ずかしいという気分がいいのだ。
さて、ビデオレンタルとレンタルビデオとは、カレーライスとライスカレーの違いか?
いずれにしろ、いまでもレンタルDVD映画とはいわず、レンタルビデオという人がほとんどだろう。昔は、映画ファンの末端は、2・3番館と呼ばれるトイレの洗浄液が臭う場末の映画館の堅くて小さい座席に身を沈めて、2本立てや3本立ての旧作を観ていた。TUTAYAが全国制覇をする前のレンタルビデオ店とは、ちょうどそんな映画ファンの末端が集う場所だったように思う。うだつの上がらない中年男の店に、やはりうだつの上がらない客がやってきて、「おもしろかったよ」「まあまあかな」など、ちょっとした映画の感想を述べて帰っていく。
「僕らの未来へ逆回転」というなら、ま、たしかに、そんなとこかな。感想はいずれ観てから。