コタツ評論

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リーダーは専門家であってはならない

2012-06-05 23:40:00 | ノンジャンル
佐藤正久@ひげの隊長に、再三、クイズを仕掛けられ、立ち往生していた田中直紀@恐妻家に代わり、森本敏拓殖大教授が防衛大臣に決まった。自衛隊出身の安全保障問題エキスパートの起用ということで、好意的な受けとめられ方のようだ。

防衛相に森本氏起用へ…再改造内閣の陣容決まる
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120604-OYT1T00347.htm?from=top

しかし、どんなものだろうか。疑悶がいくつも浮かぶ。

①田中直紀防衛大臣に、クイズが不得意だったという以外に、更迭されるような失点や失策があったのか。
②TVのコメンテーターとして活躍以上の実績が森本教授にあるのか。
③森本教授の起用の狙いが国会クイズ対策とすれば、田中直紀以下の政治的な背景しか持たない以上、より弱体な防衛大臣にならないか。
④国会クイズ対策のために民間人を起用するなら、上祐史浩・宗教団体ひかりの輪代表でもよかったのではないか。
⑤自衛隊出身の森本防衛大臣が誕生することで、有事の際、シビリアンコントロール上の問題は起きないか。

日本が危機を迎えているとすれば、前例踏襲と現状維持という枠組みに埋没しがちで、「想定外」の危機に対応できない「専門家」に多くを期待できないことは自明。すでに3.11の福島第一原発事故という重大な危機の際に、「専門家」たちがどうであったかという前例に学んだはずではないか。

もちろん、徒に専門家を不信すべきではないが、いま求められているのは政治の専門性だろう。松下政経塾がそれを養成しなかったのは、明らかなのだから。恐妻家とは、家庭内政治においてじゅうぶんな鍛錬を積み、ある成熟した統治の一形態に達した者として、一定の評価に値するものだ。

(敬称略)
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