コタツ評論

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言論の自由の見本

2009-12-22 23:48:00 | ノンジャンル


このところ、映画も観られず本も読めず、おまけに歯医者にも行けない日々だが、それも後一週間。手抜きで申し訳ないが。

読売の「編集手帳」を読むのが、最近は楽しみのひとつになりつつある。これほど、「突っ込みどころ満載」なコラムもそうはない。健筆を祈る。

12月22日付 編集手帳
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20091221-OYT1T01609.htm

〈高飛車な物言いをするとき、女はいちばん誇りを失(な)くしているんです〉とは、三島由紀夫の戯曲「葵上(あおいのうえ)」でヒロインが語る言葉である。男も同じだろう。威厳をみずから強調するとき、たぶん、誇りは傷ついている◆最終的な結論は私が判断して決める――このところ、鳩山首相おハコのせりふになりつつある。政府対応の最終権限が首相にあるのは言うまでもないことで、それをあえて口に出して言わねばならないところがつらい◆読売新聞の最新の世論調査で、内閣支持率が55%に下落した。朝日新聞は48%、毎日新聞は55%、各紙調査とも3か月前の政権発足時には70%台の支持率があったことを思えば、有権者のなかに「がっかり」の声が音量を増しているのは確かだろう◆「普天間」で刻まれた“決断できない人”の印象に加えて、政権の頭脳中枢が官邸の首相執務室にあるのか、民主党本部の幹事長室にあるのか、判然としないことも支持率に響いている◆「この私が決断する」と威厳を取り繕う首相は気の毒である。「ホントに? あなたが?」と疑わねばならない世間の心情はもっと気の毒である。

>高飛車な物言い

鳩山首相が物を言うとき、高飛車という印象を抱く人がいるだろうか。文言ではなく、言い方として。麻生前首相のほうがよほど、高飛車な応答をしていたが、そのとき、「編集手帳」氏は指摘したのだろうか。

>「普天間」で刻まれた“決断できない人”の印象

優柔不断な人が高飛車に物言う? 一度、見てみたいもの。いずれにしろ、印象を2つ重ねると実体に近づくものなのか? 高飛車なアメリカの合意実行の物言いに対し、「普天間」で決断しないことを決断したと鳩山首相は言明したし、誰が見てもその通りだろうが。

>政権の頭脳中枢が官邸の首相執務室にあるのか、民主党本部の幹事長室にあるのか、判然としないことも支持率に響いている

「響いている」というのも、印象。これで印象3つめ。もしかして、印象批評のつもりなのか?小林秀雄が草葉の陰で泣いているだろうな。ではいったい、「編集手帳」氏はどう考えているのか。政権の頭脳中枢が官邸の首相執務室にあるべきか、あるいは民主党本部の幹事長室にあるべきなのか? それとも、そのいずれでもなく、霞ヶ関にあるべきなのか。自分の考えを述べず、国民の考えを代弁しているつもりなのか。それ以前に、言葉が、文章がデタラメじゃないか。「頭脳中枢」ってな何だ? いったい、どこの世論調査で、「政権の頭脳中枢の所在云々」という設問がなされたのか、あるならお目にかかりたいものだ。さらに、目に見えないものをどこにあるかと聞くことのおかしさに気づかないか。誰にも見えない「頭脳中枢」が一カ所にあって、上意下達する仕組みを全体主義国家と呼ぶのだよ。

三島由紀夫の言を引き、世論調査の結果を引いて、不確かな印象を3つ重ね、これでは国民が気の毒である、と結論する。自分の考えや言質はどこにも残さない。しかし、国民の陰に隠れて、陰湿な印象操作はする。「言論の自由」を享受する者のある見本のように思える。それとは真逆な言論人の最近の記事を以下に紹介する。その意見に賛成か反対かは別にして、「言論の自由」の鞍部の高低を示し、言論に拠って闘う者の気迫をじさせる。自由を享受するとき、自由の責務を必ず負う。享受と責務の両方に、自分と他者宛てに、カーボンコピーが送られている。「言論の自由」の責務を果たそうとする者のある見本のように思える。

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