「子どものようになって」という選手のコメントが紹介された。キャッチボールからはじまり、三角ベース、草野球から、プロのグランウンドまで踏むようになった彼らが子どものように喜んだようだ。プロの一線級の選手ともなれば、誰しも個人主義で個性が強いもの。個人の成績はもちろん、チームへの貢献もすべて金が絡んでくるビジネスである。そんな日常から、子どもの頃に還った一瞬がゲームのさなかにあったのかもしれない。はじめて新しいグローブの皮の匂いを嗅いだときの晴れがましさ、青空に浮かぶ白球を見る浮き立つような透明感、グラウンドの仲間を見回すときの一体となった安心感、声援を送る観客に同調する逸る気持ち、相手選手たちの真剣な視線に少し怯む心・・・。もしかすると、世俗と金にまみれたプロだからこそ、心の奥底ににスポーツマンシップを温めているのかもしれない。仕事としてグラウンドに立つプロだからこそ、本当の真剣勝負に、チームメイトに餓えていたのかもしれない。「日本」ではなく、「日本の野球」を示せたことを誇りに思い、満足していると異口同音に語っていた選手たち。NYタイムスは、「ベースボールに野球が勝った日」とタイトルをつけたという。日本の、韓国の、キューバの、オーストラリアの、カナダの、南アフリカの球遊びがある。クリオールベースボール誕生の一頁が開いた。イチローよ、アメリカで辛かったんだな。
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