最近のTVの天気予報では花粉や光化学スモッグ注意報があるように、これから東日本の天気予報番組には、地域ごとの今日の放射能測定値と風向きのコーナーが必要になるだろう。
町中にAEDや郵便ポストが置かれているのと同様に、放射線測定値を計測するモニタリングポストを配置する。それだけでなく、携帯電話やモバイル端末の機能に、ガイガーカウンターを付ける。
その電卓には、mSv/h (マイクロシーベルト)や Bq (ベクレル)といったパネルを増やして、数値を打ち込むと、毎時や月間、年間あたりの基準値との差を、大人・小人・妊婦別に算出できるようにする。
それくらい、私たちは放射能汚染に慣れ親しんで暮らしていかねばならない。福島第1原発の冷却ポンプの修理や冷却期間、燃料棒の取り出しなどの作業は年間単位となり、廃炉にするまで10年以上もかかるという。
その間、放射能が洩れ続けるとなれば、花粉や光化学スモッグと同様に、みんなで注意し、被害に同情し、数値を管理して、放射能とのつきあいに耐性をつけていくしかない。放射能を「問題」としてではなく、「結果」として前向きに受け入れていく。
日本にあるすべての原発をいますぐ止めるわけにはいかないし、近隣諸国にも原発は稼働しているわけだから、放射能被害を終末論的な危機としてではなく、日常的な危険としてそれぞれが状況を管理し、平常心で向きあう国民になるわけだ。
今回の福島第1原発の事故とその処理から得られる膨大なデータは、日本が原発と放射能の研究に関して、世界の「センターオブエクセレンス」に成長する基盤となり得るだろう。また、その責任の所在と追及にともなう試行錯誤は、これからの政治経済社会諸学に多大な影響を与えるだろう。
また、被曝を前提とした放射能産業を育成することで、大きなビジネスチャンスも生まれる。予防や医療を含めて、官民学を結集した国家的なプロジェクトをいくつも立ち上げ、日本は放射能文明に特化した、「放射能立国」をめざす。
3月は卒業式の季節。しかし、被災した各地では中止されたり、避難場所で臨時に開催されたりしている。その青少年のなかから、安全な原発づくりをめざす研究者や技術者より、放射能の危険と管理に取り組む研究者や技術者がたくさん輩出するはずだ。
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