10日、南アフリカ・ヨハネスブルク郊外でネルソン・マンデラ元大統領の追悼式典が開かれた。ところが、オバマ大統領をはじめとする、世界のVIPが弔辞を述べる傍らで、聴覚障害者のために手話通訳した人の手話がデタラメだったと話題になっている。
マンデラ追悼式の手話通訳者、過去に複数罪で起訴
http://www.cnn.co.jp/world/35041417.html
最高最大の賛辞に飾られたマンデラ元大統領の追悼式典は、南アフリカ当局の最低最悪のセキュリティによって泥を塗られた恰好だ。いちばんの責任は警備当局にあるのはもちろんだが、世界90か国に及ぶVIPに付き従ってきたボディガードや警備責任者たちは、いったい何をしていたのか。
誰一人、このうさんくさい正体不明の頭のネジが緩んだ元犯罪者が、自国の元首や元元首の至近距離に立つ前にチェックできなかったことになる。驚くべき怠慢というほかはない。
たしかにマンデラは、南アフリカのアパルトヘイトを打破した偉大な黒人指導者といえるが、南アフリカ共和国の80%を占める黒人は、いまも変わらず最底辺の貧困層のまま、世界最悪の治安の下に放置されている。改革も黒人を素通りして、いささかの実も上げていない。
マンデラ元大統領の伝記映画『マンデラ 自由への長い道』
新生南アフリカ共和国の指導者として、ネルソン・マンデラが偉大であったかどうかは不問にされ、自由と平和の偉大な指導者を誇らしく称えるVIPたちの華やかな社交場となった追悼式典の会場に、まったく無関係で無能な黒人が一人紛れ込んでいた。
南アフリカの「現在」をはしなくも露呈させたそんな映像が、しかし誰も気づかないままに、世界中のTVに映し出されたわけだ。そうした信じがたい弛緩と怠慢の構図こそが、私たち世界の「現在」でもあるのだろう。
<プロ野球>NPB「納得できる移籍新制度に」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131217-00000101-mai-base
日本野球機構(NPB)と米大リーグ機構(MLB)は新たなポスティングシステムに正式合意し、昨日、楽天の田中将大投手が大リーグ移籍を希望する記者会見を開いた。
楽天の立花陽三球団社長は、田中の希望を「いったん預かる」という形で、球団としての回答を保留しているが、たぶん、「三木谷オーナーの鶴の一声」という形で大リーグ移籍を容認するだろう。昨朝のサンケイスポーツ紙は、「三木谷オーナーが残留から移籍容認」に傾いていると報じている。
マンデラ追悼式以上に、驚くべきかつ信じがたい怠慢は、NPBが「入札金上限2000万ドル(20億円)」というMLBのポスティング案に唯々諾々と同意したことだ。MLB案に反対し、交渉の継続を主張したのは楽天のみ、ほかの11球団はMLB案にただちに賛成した。
上限を定めない旧ポスティング制度では、今シーズン不敗だった田中の入札金は、1億ドル(100億円)の呼び声が高かった。楽天にしてみれば、20億円では80億円も損するわけで、積年の球団経営の赤字を埋める絶好のチャンスを逃すことになる。反対するのは至極当然である。
入札金は、選手には1円も入らず、球団だけが潤う権益だから、NPB12球団は上限20億円に頑強に反対し、MLB側と粘り強く増額交渉するのが、ビジネスの道理というものである。しかし、NPBは言われるままに、なすがままに賛成同意した。
巨額の負担を減らしたいMLB側が、NPBに猛烈な説得攻勢をかけた、というわけではない。MLBの交渉担当者は来日すらしていない。報道によれば、電話がかかってきただけらしい。「MLB側は次のような新ポスティング案を決めた」と。
ポスティング制度とは、率直にいえば人身売買であるが、100億円の商品を20億円に値切られて、おめおめ引き下がってきたら、まずクビである。その前に、「20億? 冗談じゃない、先方と交渉したのか!」「100億が無理なら、せめて50億の線で話はつかないのか!」という叱咤や再交渉の声を経営陣が上げなかったとすれば、解任は間違いない。
しかし、「はい、そうですか」と承り、「11対1」という賛成多数でNPBはMLBに同意したのである。ソロモンブラザーズからゴールドマンサックス、メリルリンチと外資系証券マンとしてキャリアを積んできた立花陽三楽天球団社長も、「反対の声すら上げない」「交渉すらしない」「言い値でけっこう」には、さぞや驚いたことだろう。一事が万事である。日本のTPP交渉も知れたものだろう。
追記:仄聞するに、今日19日の段階では、楽天三木谷は田中将大投手の大リーグ移籍は拒否の意向らしい。世評と同じく、三木谷社長にあまりよい印象を抱いていないが、20億円では不足というのは納得できる。となれば、「マー君かわいそう」「夢を叶えてあげて」と楽天と三木谷は批難されるだろうが、マー君と同様に、楽天球団と三木谷オーナーに罪はない。責められるべきは、強欲なMLBと無気力なNPBである。
(敬称略)
マンデラ追悼式の手話通訳者、過去に複数罪で起訴
http://www.cnn.co.jp/world/35041417.html
最高最大の賛辞に飾られたマンデラ元大統領の追悼式典は、南アフリカ当局の最低最悪のセキュリティによって泥を塗られた恰好だ。いちばんの責任は警備当局にあるのはもちろんだが、世界90か国に及ぶVIPに付き従ってきたボディガードや警備責任者たちは、いったい何をしていたのか。
誰一人、このうさんくさい正体不明の頭のネジが緩んだ元犯罪者が、自国の元首や元元首の至近距離に立つ前にチェックできなかったことになる。驚くべき怠慢というほかはない。
たしかにマンデラは、南アフリカのアパルトヘイトを打破した偉大な黒人指導者といえるが、南アフリカ共和国の80%を占める黒人は、いまも変わらず最底辺の貧困層のまま、世界最悪の治安の下に放置されている。改革も黒人を素通りして、いささかの実も上げていない。
マンデラ元大統領の伝記映画『マンデラ 自由への長い道』
新生南アフリカ共和国の指導者として、ネルソン・マンデラが偉大であったかどうかは不問にされ、自由と平和の偉大な指導者を誇らしく称えるVIPたちの華やかな社交場となった追悼式典の会場に、まったく無関係で無能な黒人が一人紛れ込んでいた。
南アフリカの「現在」をはしなくも露呈させたそんな映像が、しかし誰も気づかないままに、世界中のTVに映し出されたわけだ。そうした信じがたい弛緩と怠慢の構図こそが、私たち世界の「現在」でもあるのだろう。
<プロ野球>NPB「納得できる移籍新制度に」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131217-00000101-mai-base
日本野球機構(NPB)と米大リーグ機構(MLB)は新たなポスティングシステムに正式合意し、昨日、楽天の田中将大投手が大リーグ移籍を希望する記者会見を開いた。
楽天の立花陽三球団社長は、田中の希望を「いったん預かる」という形で、球団としての回答を保留しているが、たぶん、「三木谷オーナーの鶴の一声」という形で大リーグ移籍を容認するだろう。昨朝のサンケイスポーツ紙は、「三木谷オーナーが残留から移籍容認」に傾いていると報じている。
マンデラ追悼式以上に、驚くべきかつ信じがたい怠慢は、NPBが「入札金上限2000万ドル(20億円)」というMLBのポスティング案に唯々諾々と同意したことだ。MLB案に反対し、交渉の継続を主張したのは楽天のみ、ほかの11球団はMLB案にただちに賛成した。
上限を定めない旧ポスティング制度では、今シーズン不敗だった田中の入札金は、1億ドル(100億円)の呼び声が高かった。楽天にしてみれば、20億円では80億円も損するわけで、積年の球団経営の赤字を埋める絶好のチャンスを逃すことになる。反対するのは至極当然である。
入札金は、選手には1円も入らず、球団だけが潤う権益だから、NPB12球団は上限20億円に頑強に反対し、MLB側と粘り強く増額交渉するのが、ビジネスの道理というものである。しかし、NPBは言われるままに、なすがままに賛成同意した。
巨額の負担を減らしたいMLB側が、NPBに猛烈な説得攻勢をかけた、というわけではない。MLBの交渉担当者は来日すらしていない。報道によれば、電話がかかってきただけらしい。「MLB側は次のような新ポスティング案を決めた」と。
ポスティング制度とは、率直にいえば人身売買であるが、100億円の商品を20億円に値切られて、おめおめ引き下がってきたら、まずクビである。その前に、「20億? 冗談じゃない、先方と交渉したのか!」「100億が無理なら、せめて50億の線で話はつかないのか!」という叱咤や再交渉の声を経営陣が上げなかったとすれば、解任は間違いない。
しかし、「はい、そうですか」と承り、「11対1」という賛成多数でNPBはMLBに同意したのである。ソロモンブラザーズからゴールドマンサックス、メリルリンチと外資系証券マンとしてキャリアを積んできた立花陽三楽天球団社長も、「反対の声すら上げない」「交渉すらしない」「言い値でけっこう」には、さぞや驚いたことだろう。一事が万事である。日本のTPP交渉も知れたものだろう。
追記:仄聞するに、今日19日の段階では、楽天三木谷は田中将大投手の大リーグ移籍は拒否の意向らしい。世評と同じく、三木谷社長にあまりよい印象を抱いていないが、20億円では不足というのは納得できる。となれば、「マー君かわいそう」「夢を叶えてあげて」と楽天と三木谷は批難されるだろうが、マー君と同様に、楽天球団と三木谷オーナーに罪はない。責められるべきは、強欲なMLBと無気力なNPBである。
(敬称略)