2009年韓国・フランス合作映画。監督ウニー・ルコント。
東京国際映画祭に於いてアジアの風部門最優秀アジア映画賞。
1970年代の韓国。
9歳の少女ジニは、父親によそ行きの洋服を買って貰ってはしゃいでいる。
大喜びで連れられて行った先は、児童養護施設。
そこに彼女を置いて立ち去った父親は、二度と戻らなかった。
冒頭で愛くるしくはしゃいでいたジニは
笑うことを忘れたかのように心を閉ざす。
食事にも手をつけず、反抗的な態度を繰り返す。
私は他の子とは違う、
お父さんはいつかきっと自分を迎えに来てくれると信じている。
父親に連絡を取ってくれと院長に訴え、施設からの脱走まで試みる。
それでも迎えは来ない。
施設の中で友達ができ、ようやく心を開きかけるが
その友達にも裏切られ、絶望的になる。
一生懸命介抱したけど、助からなかった傷ついた小鳥。
信じていた友達と作った小さなお墓。
その小鳥の亡きがらを掘り起こし、
深い穴を掘り、自分を葬ろうとするのだ。
息ができなくなって土を払いのけた彼女は
そこでひとつふっ切ることができたのか、
新しい運命を受け入れて行く。
音楽も殆ど入れず、カメラはただひたすら少女の白い顔を追い続けることで
少女の悲しみや絶望がダイレクトにこちらに伝わってくるのです。
子を持つ親として、見ていて非常につらいものがあります。
親に捨てられた子ども。
その傷の深さは、いかばかりのものか。
毎日毎日、どんな思いで来ない父親を待っていたことか。
この監督ウニー・ルコントは、実際に韓国で児童養護施設に預けられ、
9歳で養子としてフランスに渡ったという経歴の持ち主であるといいます。
監督自身が、過去に捨てられたことは確かに大きな傷跡になっている、
この映画を作ることでトラウマからの解放になったと語っています。
30年経った今となって。
ルコント監督
子どもはたくましい。
ボロボロに傷ついても、ちゃんと立ち上がることができる。
しかし同時に、これほど繊細なものもないとも思うのです。
捨てられて傷ついて、その傷を拭えないまま一生を過ごす子どももいるでしょう。
虐待を受けた子どもが、自分の子どもにやはり虐待をしてしまうように。
”施設の大人たちがどんなに優しく親切にしてくれても、そこにいる限り
『私は捨てられたのだ』という想いをぬぐい去ることはできません”という監督の言葉が
胸を打ちます。
フランス語の原題は「une vie toute neuve」(新しい人生)といいます。
『冬の小鳥』ウニー・ルコント監督のインタビュー
http://www.nhk.or.jp/kodomo-blog/interview/62737.html
東京国際映画祭に於いてアジアの風部門最優秀アジア映画賞。
1970年代の韓国。
9歳の少女ジニは、父親によそ行きの洋服を買って貰ってはしゃいでいる。
大喜びで連れられて行った先は、児童養護施設。
そこに彼女を置いて立ち去った父親は、二度と戻らなかった。
冒頭で愛くるしくはしゃいでいたジニは
笑うことを忘れたかのように心を閉ざす。
食事にも手をつけず、反抗的な態度を繰り返す。
私は他の子とは違う、
お父さんはいつかきっと自分を迎えに来てくれると信じている。
父親に連絡を取ってくれと院長に訴え、施設からの脱走まで試みる。
それでも迎えは来ない。
施設の中で友達ができ、ようやく心を開きかけるが
その友達にも裏切られ、絶望的になる。
一生懸命介抱したけど、助からなかった傷ついた小鳥。
信じていた友達と作った小さなお墓。
その小鳥の亡きがらを掘り起こし、
深い穴を掘り、自分を葬ろうとするのだ。
息ができなくなって土を払いのけた彼女は
そこでひとつふっ切ることができたのか、
新しい運命を受け入れて行く。
音楽も殆ど入れず、カメラはただひたすら少女の白い顔を追い続けることで
少女の悲しみや絶望がダイレクトにこちらに伝わってくるのです。
子を持つ親として、見ていて非常につらいものがあります。
親に捨てられた子ども。
その傷の深さは、いかばかりのものか。
毎日毎日、どんな思いで来ない父親を待っていたことか。
この監督ウニー・ルコントは、実際に韓国で児童養護施設に預けられ、
9歳で養子としてフランスに渡ったという経歴の持ち主であるといいます。
監督自身が、過去に捨てられたことは確かに大きな傷跡になっている、
この映画を作ることでトラウマからの解放になったと語っています。
30年経った今となって。
ルコント監督
子どもはたくましい。
ボロボロに傷ついても、ちゃんと立ち上がることができる。
しかし同時に、これほど繊細なものもないとも思うのです。
捨てられて傷ついて、その傷を拭えないまま一生を過ごす子どももいるでしょう。
虐待を受けた子どもが、自分の子どもにやはり虐待をしてしまうように。
”施設の大人たちがどんなに優しく親切にしてくれても、そこにいる限り
『私は捨てられたのだ』という想いをぬぐい去ることはできません”という監督の言葉が
胸を打ちます。
フランス語の原題は「une vie toute neuve」(新しい人生)といいます。
『冬の小鳥』ウニー・ルコント監督のインタビュー
http://www.nhk.or.jp/kodomo-blog/interview/62737.html