女優黒木瞳というと
宝塚出身の上品で綺麗な女優さん、というイメージしかなかったのですが
数年前に日本文芸大賞エッセイ賞を受賞した、彼女の「母の言い訳」を読んで
ちょっと驚いた覚えがあります。
一人娘が3歳から6歳までの3年間の日常を描いたもの(雑誌に連載されたらしい)で
感動するような類のものではありませんが
幼い娘の母親としての、細やかな愛情や気配りに溢れていたからです。
あどけない娘の可愛らしさ、愛おしさ。
女優という仕事を愛してはいるものの、
忙しすぎて娘の傍にいてやれないジレンマ。
綺麗事ばかりではなく、
田舎で食堂を経営し、朝から晩まで立ち働いていた自分の母親のこと、
そんな母親のようなお母さんにはなりたくないと作文に書いて
小学生の時母親を泣かせたこと、
テレビの前で一升瓶を抱え、コップ酒を機嫌よく飲んでいた祖母のこと…
そんなことも書かれていて、あの美しく優美な顔や振る舞いから
彼女は深窓の令嬢だったとばかり思い込んでいた私は
かなり驚いたものです。
一度読んでそれきり忘れていたのですが
何故思い出したかというと
最近、こんな記事をネットで見つけたから。
勿論、信憑性は定かではありませんが…
週刊誌にも派手に取り上げられ、今、かなり話題になっているようです。
大物女優の娘 名門青山学院中等部で壮絶いじめの首謀者
http://vippers.jp/archives/6557652.html
久しぶりに彼女のエッセイを引っ張り出して読んでみました。
5歳の娘との、日常の一コマ。
”カエルと聞いて、娘は「ゲロゲロゲロ」と鳴き声を真似して喜んでいます。
子供のなんと無邪気なこと、こんなときの母親は至福以外のなにものでもありません。
「それでね、かえでは春と秋に二度色づくんだって」
私は頬笑みながら話を続けます。
「色づくって?」
「思春期ってこと」
「思春期って?」
「あなたにもすぐ来るから、すぐ分かるよ」
「へー」
とか言いながら娘は納得しています。
(中略)「早く女同士の会話が出来たら、いいね」
「してるじゃない」
「もっとよ。もっともっと」”(「母の言い訳」より)
こんなほのぼのとした会話を交わしていた、仲のよい親子。
綺麗なお母さんと、可愛らしいお嬢さん。
一連の記事が、何かの間違いであることを願ってやみません。