楽しい作品でした。
インドのムンバイからやってきたカダム家が、南仏の田舎に開いたインド料理店は
マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)が経営するミシュラン一つ星のフレンチレストランの真向い。
格式ある店を守ろうとする上品で頑固な未亡人マロリーと、
なりふり構わず店を成功させようとするカダム家のパパは、何かと対立して騒ぎを起こす。
そこに巻き込まれれてあたふたする、お人好しの市長。
こっそり進行する次男ハッサンとマルグリッド(シャルロット・ルボン)の不器用な恋。
恋は成就するかと思いきや、料理の世界においてのライバル意識がそれを邪魔する。
ハッサンは実力を認められてパリに引き抜かれてしまうのだが…
色々出てくるお料理の、なんと美味しそうなこと。
南仏の小さな村の緑や市場が、なんとみずみずしく美しいこと。
閉鎖的であろう田舎において、インド料理店が初日から繁盛する訳がないとか
いくらなんでも一年でミシュランの星が取れるシェフになれる訳がないとか
多少の文句はあります。
でもそれを差し引いても、元気を貰える楽しい作品でした。
インド料理店を敵視していたマダム・マロリーの、身内がおこした卑劣な事件についての
対処の仕方には、胸がスッキリします。
本当に美味しい料理は愛する人とともに、という王道の結論もお見事。
ただ、私が愛する「ギルバート・グレイプ」や「サイダーハウス・ルール」の
ラッセ・ハルストレム監督にしては、あまりにも捻りがないと思ったら
こちら、スピルバーグも制作を担当したディズニー配給作品なのですね。
仕方ないか…
原題は「The Hundred-Foot Journey」(100フィートの旅)。
100フィートは30メートルくらいなので、つまり両店の間の距離を指しているのか。
邦題はもうちょっとなんとかならないのかと思います。
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」 http://www.disney.co.jp/movie/spice.html