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この作品の評判を聞くにつけ、非常に気は進まなかったのですが…
観なくちゃいけないような気がして、勇気を振り絞って観て来ました。
聞きしに勝る、迫力でした。
第二次世界大戦末期のある一日。
ナチを相手にドイツで死闘を繰り広げるアメリカ軍。
百戦錬磨のベテラン兵ドン(ブラッド・ピット)のもとに
新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が配属されてくる。
ドンは銃の扱いもできない若造に苛立ちながらも、次第に彼が息子のように思えてくる。
(映画の後半では、ノーマンのことをmy sonと呼んでいた)
泣いて拒否するノーマンに無理やり銃を持たせ、命乞いをするドイツ兵を
至近距離で撃たせるという残酷な洗礼を受けさせる。
狭い戦車の中で、激しい銃撃戦の中で、運命を共にする5人の仲間たち。
味方の戦車が次々にやられ、遂にたった一台の戦車「フューリー」号で
300人のドイツ兵と闘うことになる。
この戦車は、英国のボービントン戦車博物館から提供された本物なのだそうです。
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ドイツの田舎町のあちこちにナチによって吊るされた「戦争非協力者」の市民の遺体。
着の身着のままで、荒野を歩いて逃げ出す市民たち(その中には花嫁衣装の女性もいた)。
吹き飛ばされる人間の五体、戦車に踏み砕かれる遺体など、あまりに残虐なシーンでは
私は思わず目をつぶってしまったのですが、耳に飛び込んでくる音は防ぎようがない。
おなかに響く戦車が走行する重低音、耳をつんざく銃撃戦の音、人間の悲鳴。
自分も狭い戦車の中にいるような、息詰まる気分にさせられます。
最後にSSの少年兵は何故あんなことをしたのか?
あれだけの膨大な数の味方を殺した相手に対して、何故あれができたのか?
引きずり出して、考えられる最大のむごい殺し方をして当然ではないか?
観た瞬間、私にはどうしても分からなかったのですが
あれは、殺人マシンと化したノーマンに対する、ひいては大量殺戮をよしとする
戦争に対する、強烈なアイロニーだったのですね。
ノーマンだって、隊に加わったばかりの時は、純朴な少年兵だったのですから…
ナチ=絶対悪であった本作において、このどんでん返しには
胸をえぐられました。
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この脚本は、実在した部隊をベースに多くの軍事経験者から
事実を聞きこんで作られたのだそうです。
戦争だけはしてはいけない。
何があっても。
淡々と一日を描いた作品ですが、全身でそう訴えています。
「フューリー」とは、「激しい怒り」というような意味です。
「フューリー」 http://fury-movie.jp/index.html