「スラムドッグ・ミリオネア」のダニー・ボイル監督(アカデミー作品賞)、
「ソーシャル・ネットワーク」のアーロン・ソーキン脚本(アカデミー脚本賞)といったら
嫌でも期待は高まるというもの。
主役ジョブズには、マイケル・ファスベンダー。
変わった構成です。
Macintosh、Next、Imacのプレゼン直前の、バックステージのみを描いている。
その有名なプレゼンの、本番の様子はなし。
大きな会場にマスコミの他、人々が溢れるほどに集まっている。
今か今かとプレゼンが始まるのを待つ聴衆の前に、緊張感高まる舞台裏、
そこで機械が故障したり、前妻が(ジョブズが認知していない)娘を連れて押しかけたり、
そして登場人物の、機関銃のような口論が始まる。
ジョブズの、相手をののしり倒す、その容赦のなさといったら。
MacやIPadやiPhoneを生み出したこの人は、本当に天才だったのでしょうけど
一緒に働くには相当嫌な人であったのでしょうね。
その証拠にジョブズは、自分で造り出したApple社から一度追い出されている。
そしてこの映画を観る限り、夫としても父親としても、最低な人間であったのでしょう。
幼い娘にしがみつかれても、抱き返すこともできない。
何の説明もなく第三者の名前やPC用語が続出し、
しかも全編の9割方が激しい口論で占められ、相当疲れる映画です。
ジョブズと部下アンディの会話。
「Mackintoshの発表会の時には散々酷いことを言われた。あんたが大嫌いだ!」
「でもそのおかげで発表会は成功した。礼には及ばないよ」
温厚な友人ウォズニアックにも
「人格と才能は共存しないのか」と言われる始末。
DNA鑑定の結果、94%の確率で実子であると判断された娘を
長いこと認知しなかったのも事実であるようです。
それでもラストシーンに、かすかな救いがあったのが嬉しい。
追い出されたApple社に復帰を果たし、あの美しいレインボウ・カラーのiMacの
プレゼンの直前で、映画は終わるのです。
iMacのCMで使われたRollingStonesの軽やかな曲、She's A Rainbowが聴こえてくるようです。
でも「コトキ」と「マークラ」は、最後まで出て来なかったよね…?
スティーブ・ジョブズ http://stevejobsmovie.jp/