
建築家として世界各地で活躍していたセレーナ(パオラ・コルテレージ)は、里心がついてローマに戻るが
待ち受けていたのは、超保守的な男性優位の社会。
才能や実績を生かすどころか、建築会社に就職すらできず、レストランのバイトで食いつなぐ始末。
そこのイケメンのオーナー、ようやく見つけた理解者に惚れかけるが、実はゲイだった。
八方塞がりの彼女は起死回生を図って、公営住宅のリノベーション計画に応募するが…
いや、笑いました。
日本も相当、女性が働きにくい社会だと思っていましたが、これを観る限りイタリアの方が酷い。
いくらなんでも今の日本社会では、女性名で応募するだけで不採用ということはありませんよねえ。
雇用契約の中の、解雇する際の免責事項に、天災と並んで「妊娠」の項目があるなんて。
セレーナの母親や伯母さんは、顔を見れば早く結婚しろとうるさいこと。

しかしポジティブ思考のセレーナはあきらめない。
イケメンのゲイを巻き込んで、あくまでも陽気に前向きにがんばる。
会社のボスに媚びへつい、自分の「素」を隠していた同僚たちも
彼女の姿勢に励まされて、最後には正直な自分を出すことになるのです。
そしてイケメン・ゲイの周りに登場する色情狂や熊兄貴「奴隷72」など、
悲壮感を出すことなく、ドタバタコメディで楽しく見せてくれる。

映画の中に、日本もちらりと出て来ます。
姫路城、桜、盆栽、金の招き猫と、ステレオタイプ甚だしいのが笑えます。
万里の長城と間違えなかっただけ、まだマシなのかも。
この作品は、実在する女性建築家エンダリーナ・サリーメイによるローマ郊外の公営住宅の
リフォームプラン「緑の空間」の採用にヒントを得て作られたのだそうです。
笑って同情してハラハラして、思わずヒロインを応援したくなる映画です。
しかし広い東京で、これを上映しているのは新宿ピカデリー1館だけって…
今日の午後は満席でしたが。
原題は「SCUSATE SE ESISTO!」(英名DO YOU SEE ME?)
「これが私の人生設計」 http://korewata.com/