ひょんなことから、友人と山椒魚の話になりました。
「山椒魚は悲しんだ」で始まる、井伏鱒二の短編です。
あれ、結末変わったんだよね。
そうだっけ?なんか騒ぎがあったねえ。
確か、ラストを切り取ったんじゃなかったっけ。
ラストって、蛙が、実は怒ってないんだっていう部分?
あれ取っちゃったら、まるで味わいが変わっちゃうんじゃないの?
そんな騒ぎがあったことを、すっかり忘れていました。
Wikiで見てみたら、1985年『井伏鱒二自選全集』の刊行にあたり著者自身によって様々な改定がなされ、
「山椒魚」はその結末部分が10数行に渡ってカットされており、以下の文章で終わるかたちとなったのだそうです。
「更に一年の月日が過ぎた。
二個の鉱物は、再び二個の生物に変化した。
けれど彼等は、今年の夏はお互い黙り込んで、
そしてお互いに自分の嘆息が相手に聞こえないように注意してゐたのである。」
ええ?
うっかり岩屋から出られなくなってしまった山椒魚が己の不運を嘆き悲しんで
そこに紛れ込んできた、罪のない蛙をも出られなくしてしまう。
お互いに反目し合って口も利かず、1年が過ぎ2年が過ぎ、蛙は思わず嘆息を漏らす。
それを聞き留めた山椒魚が話しかけるが、蛙は空腹で動けず、もう死ぬばかりになっていた。
お前は今何を考えているようなのだろうか、と聞く山椒魚に対して蛙は、
今でも別にお前のことを怒ってはいないんだ、と答える。
そのラストを削っちゃうなんて。
銀座に出たついでに、教文館書店で確認してみました。
新潮文庫「山椒魚」、ラストには「今でも別にお前のことをおこつてはゐないんだ」
という文がちゃんとありました。
このラスト、変わったのじゃなかったのですかと訊いてみたら
ご主人、いや、変わってないですよ、これは平成23年発行の改訂版ですと。
してみると、自選全集の分だけ変えたのかしら?
よく分かりませんが、とりあえず書店の本の中にはラストの文があることを確認して
ちょっとホッとしました。
「山椒魚」 http://tinyurl.com/y2cvvw5x
「山椒魚は悲しんだ」で始まる、井伏鱒二の短編です。
あれ、結末変わったんだよね。
そうだっけ?なんか騒ぎがあったねえ。
確か、ラストを切り取ったんじゃなかったっけ。
ラストって、蛙が、実は怒ってないんだっていう部分?
あれ取っちゃったら、まるで味わいが変わっちゃうんじゃないの?
そんな騒ぎがあったことを、すっかり忘れていました。
Wikiで見てみたら、1985年『井伏鱒二自選全集』の刊行にあたり著者自身によって様々な改定がなされ、
「山椒魚」はその結末部分が10数行に渡ってカットされており、以下の文章で終わるかたちとなったのだそうです。
「更に一年の月日が過ぎた。
二個の鉱物は、再び二個の生物に変化した。
けれど彼等は、今年の夏はお互い黙り込んで、
そしてお互いに自分の嘆息が相手に聞こえないように注意してゐたのである。」
ええ?
うっかり岩屋から出られなくなってしまった山椒魚が己の不運を嘆き悲しんで
そこに紛れ込んできた、罪のない蛙をも出られなくしてしまう。
お互いに反目し合って口も利かず、1年が過ぎ2年が過ぎ、蛙は思わず嘆息を漏らす。
それを聞き留めた山椒魚が話しかけるが、蛙は空腹で動けず、もう死ぬばかりになっていた。
お前は今何を考えているようなのだろうか、と聞く山椒魚に対して蛙は、
今でも別にお前のことを怒ってはいないんだ、と答える。
そのラストを削っちゃうなんて。
銀座に出たついでに、教文館書店で確認してみました。
新潮文庫「山椒魚」、ラストには「今でも別にお前のことをおこつてはゐないんだ」
という文がちゃんとありました。
このラスト、変わったのじゃなかったのですかと訊いてみたら
ご主人、いや、変わってないですよ、これは平成23年発行の改訂版ですと。
してみると、自選全集の分だけ変えたのかしら?
よく分かりませんが、とりあえず書店の本の中にはラストの文があることを確認して
ちょっとホッとしました。
「山椒魚」 http://tinyurl.com/y2cvvw5x